ただ当時は、「コストカットしなければ国際競争に勝てない」という考え方が蔓延していて、そのような経営者がもてはやされました。しかし、そのコストカットでできた余裕を、積極的な投資や研究開発には回さず、人減らしばかりしてしまいました。
そして、IT化で業務が効率化したのに、ますます業務が増えるだけという悪循環に陥り、みんなが「つらい」と言う世界になった。それが平成30年間の帰結だったのです。日本が強烈に反省すべき点でしょう。
少人数のチームがうまくいかなかった理由
一方、スタートアップの界隈では、2015年頃から、少人数の、フラットでヒエラルキーのない強い組織体制を作ろうという流れがありました。
後に「ティール組織」というモデルも出ています。ただ、大企業がそれを導入してもうまくいかなかった。理由は、本書に書いてある通りです。
少人数の部族的なチームだからこそ成立するものを、ダンバー数をはるかに超えた何百、何千の組織に持ち込んでもうまくいくわけがなかったのです。
企業内ベンチャーも増えましたが、一部を除いてあまりうまくいきませんでした。チームは10~15人で動きますが、いざ事業化するとなると、部長や局長など上司が口を出してきてうまくいかなくなるからです。
本書に書かれているような少人数でのチーム力と、ヒエラルキー組織との関係性がうまくいかなかったということでしょう。
最近は、大企業でも組織についての考え方が変化して、特に、管理職は劇的に変わったと言われます。
僕が新聞社に入社したのは、昭和の最後の年でしたから、管理職は「出世してなるもの」というイメージで、上司と言えば、ただハンコを押すだけか、ひたすら怒鳴っているおじさんかの両極端でした。しかし、今はそういう概念自体が変わってきています。
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