東京で一獲千金狙うも「酷評」店主の痛切な気づき 山形の超人気ラーメン店「新旬屋」はどう再生したか

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こうして完成したのが「金の鶏中華」である。

金の鶏中華
東京ラーメンショー2012での経験を通じて、人の真似ではない、自分だけの一杯を目指すようになった半田さん。その結果、「金の鶏中華」が生まれることとなった(筆者撮影)

旧来の蕎麦屋の鶏中華ではなく、ラーメン屋の作り方で鶏中華を作ったらどうなるんだろうというトライアルである。蕎麦ダレは使わず、鶏のスープに醤油と塩のカエシを加えたラーメンらしい鶏中華を仕上げた。この「金の鶏中華」を2013年から提供し始める。

「蕎麦屋の鶏中華とも違う、とりもつラーメンとも違う、何だこれは」という批判がたくさん来たが、半田さんは何か新しいことをすれば批判は必ず出てくることを受け入れ、せっかく自分で作り上げた一杯をもっと美味しくしようと努力した。

そこで閃いたのが、注文が入ってからスープに生の鶏肉を入れて一杯ずつ小鍋で作るという製法だ。通常のチャーシューを注文を受けてから作ることは不可能だが、鶏肉なら直前に火入れすることでフレッシュな味を出せる。スープとともにカエシも一緒に入れて鶏肉を煮込むことで、カエシの味も鶏に入るし、鶏肉の旨味も一気にスープに広がる。これは一石二鳥だ。こうして「金の鶏中華」はだんだん進化を遂げていく。

名古屋のラーメンイベントで「金の鶏中華」を提供したとき、一杯ずつ小鍋で作っていたらお客さんを待たせてしまい、やむなく事前に火入れして味付けした鶏肉を使うことになった。売り上げは上がったが決して満足感は得られず、自分の作りたいラーメンの方向性を改めて知ることになった。

翌日からオペレーションを戻し、一杯ずつ小鍋で仕込むことに。杯数は落ちてしまったが、妥協せず美味しい一杯を提供することが自分のやるべきことだと再認識した。

「今でもイベントに行くたびに、一つ一つ鍋で作っててバカじゃないの?と言われるのが嬉しくて(笑)。1500杯でも1600杯でも小鍋で一杯ずつ作って美味しい一杯を提供してきたことで今があります。

いろんなイベントや百貨店の催事にも呼んでいただき、全国の方が『金の鶏中華』を知ってくださったんですよね。著名な方も来てくれましたし、東京のイベントで食べて美味しかったのでと新庄まで食べに来てくれる人もたくさんいるんです」(半田さん)

「大つけ麺博」で、「金の鶏つけ中華」が大当たり

「大つけ麺博」では「金の鶏つけ中華」を作り、これも大当たり。

金の鶏つけ中華
「大つけ麺博2018」で提供された「金の鶏つけ中華」(筆者撮影)
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