台湾で続々とユニコーン企業が出現している理由 過去10年間でスタートアップ企業が倍増

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実際、2000年から2016年までに、買収されたりIPOに成功して市場に登場したりしたスタートアップは20社未満だったが、2016年から現在までの7年間で30社以上に増えている。

とくに近年ではAppier、91APP、Gogoro(睿能創意)、Perfect(玩美移動)の4つのユニコーン企業が国内外で上場し、業界を大きく刺激した。

スタートアップ上場ブームが発生

2012年に台北で創業したAppierは、2014年から計5回の資金調達を行い、セコイア・キャピタル、メディアテック、ジャフコアジア、ソフトバンクグループなどから出資を受けた。

2021年には「台湾初のユニコーン企業」として日本に上場し、初日に1897億円の時価総額を達成。株価はその後変動したものの投資家はすべてが利益を得た。

もう1例として、2016年に設立された騰雲科技は、LEECOアウトレット、国泰人寿、新光三越、阜爾運通などの戦略的投資家の支援を受け、総額1億7400万台湾元(約8億7000万円)の資金を調達した。

タイペイエクスチェンジ(TPEx、台湾の店頭銘柄を取引する証券市場)に上場し、興櫃からメインボードに移って2年余りで時価総額は2倍に増加。初期に1株あたり10台湾元(約50円)で購入した投資家は簿価換算で22倍以上のリターンを得たことになる。

さらに、ここ7年間で多くのスタートアップが買収された。例としては酷式基因が華聯生技に買収され、資金調達プラットフォームのMYFEELが日本の上場エンターテインメント会社DLEに買収されたケースがある。

達盈管理顧問のファウンダーである方頌仁は、これらの買収案件が増えたことは、投資家が利益を得ていることを表している。そしてさらなる資金をスタートアップ投資に引き込む好循環も生み出しているという。

台湾のベンチャーキャピタルは、スタートアップ投資の主要な資金源の一つであり、その歴史は40年に及ぶ。1984年、エイサーのファウンダーである施振栄氏が台湾初のベンチャーキャピタル会社の宏大創投を設立し、台湾のベンチャー投資がスタートした。それ以前には、1959年に設立された中華開発公司(中華開発資本の前身)が、投資の先駆けとなっていた。

1980年代から2000年にかけては、台湾のベンチャーキャピタルの黄金時代に当たる。当時、台湾は政策によってハイテク産業の発展を推進し、情報通信技術(ICT)や半導体産業が芽生えたばかりで、投資リターンが高かった。TSMC、UMC、PCメーカーのASUS、エイサーなどは、非常に魅力的な投資先だった。

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