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台湾スタートアップ所管閣僚が語る日本への期待 進む日台連携、相互の弱点を補って成長目指す

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台湾スタートアップ担当閣僚に台湾のスタートアップ事情と日本との連携余地を聞いた。

龔明鑫(きょう・めいきん)/台湾・輔仁大学統計学系卒、国立台湾大学修士課程修了、国立中興大学(現国立台北大学)博士課程修了、博士(経済学)。淡江大学助理教授、台湾経済研究院副院長、国家発展委員会副主任委員、経済部(経済省)政務次長などを経て、2020年より現職 (筆者撮影)

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※この記事は10月4日5:00まで無料会員登録でお読みいただけます。それ以降は有料会員向けとなります。

エネルギー資源小国で日本と類似点が多い台湾。脱炭素社会やDX(デジタルトランスフォーメーション)などの世界的な流れに対応するために、台湾はスタートアップ企業の育成を図り、社会課題の解決にもつなげようとしている。

世界のDXをハード面で支える世界最大級の半導体企業、TSMCも1987年にスタートアップ企業として創業された。台湾はどのように産業を育成し、脱炭素やDX分野でリードを目指しているのか、そして日本と連携したいのか。経済・産業政策の策定を担う国家発展委員会の主任委員(大臣)で、日本との連携を深めるために開催された「日本・台湾スタートアップサミット2023」に出席するために来日した龔明鑫(きょうめいきん)氏に考えを聞いた。

相互に信頼、弱点を補う

――今回は台湾のスタートアップ企業と日本企業の連携を深めるために来日されました。ただ、日本企業は保守的で意思決定も遅く、スタートアップ企業とスピード感が合わないとの意見も多く聞かれます。どう思われますか。

各国とも強みや弱みがそれぞれある。弱い点はほかと協業して、補うことができる。台湾のスタートアップ企業は技術や特定の領域で強みをもっているが、台湾は人口が約2400万人と市場が小さいのが弱点だ。成長するために海外市場を目指す必要がある。

産業連携で最も大事なのは相互信頼だ。日本と台湾には信頼関係があり、それを基礎に協業して成長をともに目指せるはずだ。台湾は過去に日本統治時代に仕事の姿勢について、ちゃんとやりきるという真面目さを日本から学んだ。一方で事業への柔軟性についてはアメリカから変化の早さを学んできた。

スピード感は確かに日本に少し足りない点だろう。たとえば、スマートフォンの設計やソフトウェアは絶えず変わり続けており、このような1~2年で更新や買い替えがなされる製品市場で退出した日本企業は多い。ただ、10~20年使うような製品では日本はまだまだ強い。

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