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三井住友FG「ユニコーン創出ファンド」の実力 レイターステージに特化、狙うのは大型IPO

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三井住友銀行が総額300億円もの予算を引っ提げ、スタートアップ投資の大型ファンドを立ち上げた。ファンド組成の狙いについて、三井住友銀行でスタートアップ投資を担う、成長事業開発部の高橋潤部長と石澤卓也上席部長代理に聞いた。

三井住友銀行でスタートアップ投資を担う、成長事業開発部の高橋潤部長(左)と石澤卓也上席部長代理(右)(写真:今井康一)

特集「すごいベンチャー100 2023年版」の他の記事を読む

9月11日発売の『週刊東洋経済』9月16日・23日合併号では、「すごいベンチャー100 2023年最新版」を特集(アマゾンの購入ページはこちら)。注目の100社の総力取材記事(8日15時から順次公開)に加え、10年後の日本を占ううえで欠かせない「スタートアップ市場の最新トピックス」を網羅する。

「日本発のユニコーン創出に向けたグロースファンドの設立について」――。7月、三井住友銀行がスタートアップ投資の大型ファンドを立ち上げた。

総額300億円もの予算を引っ提げ、事業が軌道に乗り始めたレイターステージのスタートアップ企業に照準を定める。

小型上場とやゆされる日本のIPO(新規株式公開)市場にあって、時価総額4ケタ億円を誇るユニコーン企業をどう創出していくか。

ファンド組成の狙いや銀行業務とのシナジー創出について、三井住友銀行でスタートアップ投資を担う、成長事業開発部の高橋潤部長と石澤卓也上席部長代理に聞いた。

数十億円規模規模の資金拠出を

――ファンド設立の経緯は。

石澤:われわれが所属する成長事業開発部は、スタートアップ支援の専門部署として2017年に発足した。デット(融資)だけでなく、エクイティ(出資)も拠出してスタートアップの成長を促している。

レイターステージに特化したファンドは、2022年8月頃から(ベンチャーキャピタルの)グローバル・ブレインとともに検討を始めた。欧米の金融不安によって主要な資金の出し手だった外資系ファンドが及び腰になっている。代わりに将来ユニコーンになり得る企業への支援が必要だと考えた。

運用総額は300億円だが、数億円単位の小口投資はしない。最低でも十数億円、ワンショット数十億円規模で資金を拠出したい。

(7月の発表以降)スタートアップからの反響は非常に大きく、これまで付き合いのなかった会社からの問い合わせもある。レイターステージに特化したファンドが、これまでいかに少なかったかを実感している。

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