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自動車業界で「在庫の常道」を変える起業家の正体 ソフトを駆使した「在庫戦略」で経営改善に道筋

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「すごいベンチャー100」2023年最新版から注目の7社をピックアップ。「モビリティ」領域からは、在庫関連のソフトウェアを開発する「FACTORY X」を拡大記事で紹介する。

青山学院大学大学院では経営管理を専攻。アクセンチュアなどでも勤務経験のある神谷喜穂CEO(写真:FACTORY X)

特集「すごいベンチャー100 2023年版」の他の記事を読む

9月11日発売の『週刊東洋経済』9月16日・23日合併号では、「すごいベンチャー100 2023年最新版」を特集(アマゾンの購入ページはこちら)。注目の100社(2023年最新版・全リストはこちら 9月8日15時公開予定)の総力取材記事に加え、10年後の日本を占ううえで欠かせない「スタートアップ市場の最新トピックス」を網羅する。

※この記事は9月16日5:00まで無料会員登録でお読みいただけます。それ以降は有料会員向けとなります。

製造業に在庫革命を――。

日本のお家芸ともいえるものづくりで、新たな風を吹き込もうとしているのがFACTORY X(ファクトリーX)だ。創業は2022年9月、社員も3人と産声を上げたばかりだが、2023年4月のプレシードラウンドでは4000万円を資金調達した。

トヨタ自動車の生産方式を構成する一つの要素である、必要なものを、必要なときに、必要な量だけ用意する「ジャスト・イン・タイム」に代表されるように、自動車業界などでは在庫を的確に管理することで高効率な生産につなげる動きが広く普及している。

ファクトリーXはこの常道ともいえる在庫の考え方とは異なるアプローチから、新たなビジネスを構築しようとしている。

経営改善のための「在庫戦略」を浸透させる

同社が開発しているのが、企業が生産している製品に合わせた最適な在庫を算出するソフトウェア。予算や使用する材料、設備の費用、見込み収益などのデータに加えて、事業方針など会社の状況をシステムに入れ込むことで、工程ごとの最適なリードタイムを算出する。さらにこのデータを集約し、工場全体の最適な在庫を弾き出す。

このシステムを通じて浸透させようとしているのは、在庫の数や状態を適正な水準に保つだけの「在庫管理」ではなく、最適在庫を算出して工場経営を改善する「在庫戦略」という概念だ。

神谷喜穂CEO(最高経営責任者)は愛知県岡崎市の出身。市内には三菱自動車の主力工場である岡崎製作所が存在し、トヨタ自動車が本社を構える豊田市と隣接する、まさに自動車の街だ。物理研究者だった父を持ち、「幼少期から数字や研究に関する事象に興味があった」という。

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