台湾で続々とユニコーン企業が出現している理由 過去10年間でスタートアップ企業が倍増

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数字からもその傾向は明らかだ。10年前の台湾における年間の初期投資額はわずか200億台湾元(約1000億円)だったが、2023年には900億元(4500億円)近くに急増。2024年の第1四半期だけで、投資規模は5億3000万米ドル(約800億円)に達した。

企業の6割が早期投資を実施

企業やベンチャーキャピタルが早期投資に参加する割合は63%を超えており、投資件数も2015年から2023年にかけて15%増。范氏の分析によれば、企業は産業の高度化に対応するため、積極的に電子産業チェーン、例えばAIチップ設計などに参入している。

また、グリーンエネルギーの発展に対応するため、太陽光発電やエネルギー貯蔵に関連するスタートアップへの投資が、早期投資件数増加の主な要因となっているという。

台湾経済研究院のFINDITプラットフォームの統計では、2014年の台湾のスタートアップ数はわずか2417社だった。しかし2024年8月には7800社を超え、10年で2倍以上に成長した。

起業家数が急増しているだけでなく、台湾におけるスタートアップへの投資ムードも活況を呈している。世界のベンチャーキャピタル市場は、2022年第1四半期に投資件数と金額がピークに達した後、減少を続けており、2024年の第2四半期には取引件数がピーク時のほぼ半分に、金額も6割減少した。

しかし台湾では台湾経済研究院のデータによると、2023年の早期投資案件は542件に達し、過去最高を記録。2022年と比べて約10.4%の成長である。

早期投資とは、台湾経済研究院によれば、台湾のスタートアップ企業が新規株式公開(IPO)前に受ける投資を指す。

ロボットの腕に使われる「ロボットスキン」を開発した原見精機の劉昌和総経理はこの状況を最も実感している人物の1人だ。以前は、台湾のベンチャーキャピタルがロボット産業に馴染みがなく、会社は資金調達で何度も壁にぶつかっていた。

しかし、関連分野の注目度が上がるにつれて、同社は次の資金調達ラウンドを準備中。わずか2週間で7つの機関投資家が訪問する事態となった。

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