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台湾経済閣僚、起業・スタートアップ支援や日本との協力を語る。TSMC情報流出には「臆測も多い」と言及

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台湾国家発展委員会主任委員、劉清鏡
都内のホテルでインタビューに答える台湾の国家発展委員会の劉鏡清・主任委員(撮影:尾形文繁)
8月25日、26日の両日に東京都内で「日本・台湾イノベーションサミット」が開かれた。今年で4回目となる同サミットには台湾から45社のスタートアップ企業が参加し、日本企業との提携などが議論された。
一方で、8月初旬には台湾積体電路製造(TSMC)の機密情報が不正に取得された疑いで東京エレクトロン台湾子会社の元従業員が逮捕される事件も起きた。台湾の一部では日本企業の組織的関与を疑う声があがり、日本からは台湾で先走る見方に懸念の声も出た。
日本と台湾の経済関係や産業協力、台湾のスタートアップ支援策、TSMCの技術情報流出などについて、台湾で経済・産業政策の司令塔を担う国家発展委員会の主任委員(大臣)でTSMCの取締役でもある劉鏡清氏に聞いた(健康上の理由で8月29日に辞任予定、インタビューは辞任公表前に実施)。

――台湾のスタートアップ企業を支援する拠点を2024年9月に東京・浜松町に設立して、まもなく1年が経ちます。

台湾のスタートアップ企業の日本進出を支援してきた。日本と台湾の協力は着実に進んでいる。クールジャパン機構をはじめ、さまざまな組織やファンドと協力している。直近では、京都大学発のVCと提携してスタートアップ向けのファンドを組成することを検討している。

今年のサミットでは台湾から45社のスタートアップ企業が参加した。昨年は30社だったから、日本で成長したいと考える台湾企業が増えている。

政府の各省で計5000億円のファンド

――この1年で台湾政府のスタートアップ支援策で新たな動きはありますか。

スタートアップ支援の新たな環境作りを進めている。例えば台湾政府の各部(省)にそれぞれが推進する政策に沿った10個のファンドを設立した。環境部は(環境に優しい)グリーン経済分野、経済部は製造業とサービス業、デジタル発展部はAI分野などの投資を支援する。それぞれのファンドは100億新台湾ドル(約500億円)規模だ。

また、スタートアップ企業の誕生を後押しするために、事業アイデアを持った起業志望者たちが応募する「起業コンテスト」も実施する。優れた起業・事業計画を持つ参加チームには最大で1000万新台湾ドル(約5000万円)の賞金を付与する。国家発展委員会の基金にも投資申請ができ、最大で1億新台湾ドル(約5億円)の投資を受けられる体制を整えた。

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