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台湾経済閣僚、起業・スタートアップ支援や日本との協力を語る。TSMC情報流出には「臆測も多い」と言及

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応募してきたチームには起業に向けた基本的な知識や能力を身につけてもらうために、研修も実施する。政府として起業に必要な技能や資金をしっかり準備していきたい。

台湾国家発展委員会・劉鏡清主任委員
劉鏡清(りゅう・きょうせい)/台湾・中原大学数学部卒、国立台湾大学商学研究所修士課程修了。IBMやPwCなどで幹部を務めた後、2024年5月の頼清徳政権発足時に現職に就任。2025年8月29日に健康上の理由で辞任予定(撮影:尾形文繁)

――資金的な支援だけでなく研修も行うなど、手厚いスタートアップ支援策をわざわざ政府が用意するのはなぜでしょうか。

日本でも経済活動が東京など都市部に集中しているように、台湾でも起業やスタートアップ企業への投資は台北など北部の大都市に集中していた。そのため、南部や農村地域で起業したいと考える人たちに十分なリソースを提供できていなかった。この地域間格差を是正したい。

直近の起業コンテストでも第一選考で選ばれた300チームのうち、台湾全人口の7割を占める主要6都市からのチームは半数の150のみ。選ばれたチームには対面で起業に関する研修を提供している。選ばれなかったチームにもオンラインでの研修機会を用意している。起業への理解がある層を増やし、コンテストでの競争だけでなく、台湾全体で未来の成長産業への種まきをしていきたい。

高所得の就業機会を50万人分

――地域間格差の是正に注力する理由は何でしょうか

大きな理想がある。政府は、台湾の子どもたちが将来、より高い所得を得られるようにしたい。しかし現実には、田舎で生まれた子どもは都市部で生まれた子どもに比べて、高収入の仕事に就けるチャンスが乏しい。

そこで収入に影響する「産業」「場所」「年齢」という3つのテーマを軸に政策を考えている。成長産業があるか、住んでいる場所に高所得の職があるか、若くても高収入を実現できるかだ。

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