それにしても、なぜ人々は最近、そんなにライブに行きたがるのだろう。いや、人々をライブに向わせる「生」への渇望が生まれる理由はよくわかる。
サブスクリプションや動画サイトなど、ネットワーク経由をした「出来合い」のデジタル音源を、ずっとイヤフォンで聴き続けていると、「出来合い」ではなく「出来立て」の生演奏・生歌を、空気をブルブル震わせる生音で聴きたいというニーズが高まるのは、ある意味で自然なことだ。
「生」感が重視される時代
ただ特に、最近のスタジアム級の大規模コンサートなどでは、サウンドは過剰に加工され、また照明などの演出も華美かつ過多で、大人数の観客一体感の中、それはそれで盛り上がりはするけれど、「これ、あんがい『生』じゃねーな」という感覚に陥ることがある。「これ、『出来立て』じゃなく『出来合い』じゃね?」とか。
そんな流れの中で、比較的「生」感の担保されるライブ形態である「フェス」の隆盛があるのだろうけれど。
そんな中、ネットワークの中でも、「生」感を持って音楽を届けようとしたのが、2019年に生まれたサイト「THE FIRST TAKE」である。
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