
片山杜秀(かたやま・もりひで)/慶応大学教授。1963年生まれ。政治学者(政治思想史)、音楽評論家。慶応大学法学部教授。政治思想史で多くの著作を送り出すだけでなく、音楽評論の分野でも多彩に活動。『音盤考現学』『音盤博物誌』で吉田秀和賞とサントリー学芸賞を受賞(2008年)。(撮影:尾形文繁)
この2人にクラシック音楽を語らせたら止まらない。古楽から古典派、ロマン派、現代音楽まで、縦横無尽に語り合った。ベートーヴェンはなぜすごいのか。モーツァルトはなぜ愛されるのか。寄り道だらけの対談から、クラシック音楽の楽しみ方が見えてくる。
──共著者である岡田暁生氏とは長時間の対談になったそうですね。
1回3時間以上の対談を6回やって合計では20時間以上。1冊の本を作るだけならばその半分もあれば十分だった。さらに話があちこちに脱線するから、編集者は大変だったはず(笑)。
第1章の前に序章を置いて「バッハ以前の一千年はどこに行ったのか」を議論したのは、岡田さんがその問いを投げかけてきたから。そもそもバッハ(1685〜1750)以前の音楽が古楽と呼ばれ、どうしてクラシック音楽と区別されているのかを2人で詳しく論じた。クラシック音楽とは何かを考えるうえで重要なポイントなので、その話をできてよかった。想定外のシナリオは対談の面白さです。
作曲家の曲調にも影響した社会背景
──バッハは「クラシック音楽の父」と呼ばれていますが、それがなぜなのかを社会背景や歴史にまで踏み込んで解説しています。
教科書的にいえば、バッハは、複数の旋律を重ね合わせる「対位法」を極限まで推し進めて、後世の模範になった。その意味でまさにクラシック音楽の父の名にふさわしい。
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