人間関係の悩みは、時代遅れの本能のせいだった 『増えるものたちの進化生物学』市橋伯一氏に聞く

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『増えるものたちの進化生物学』著者の市橋伯一氏
市橋伯一(いちはし・のりかず)/東京大学大学院教授。1978年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科・先進科学研究機構・生物普遍性研究機構教授。専門は進化合成生物学。遺伝情報を持ち進化する分子複製システムを、世界で初めて構築した。(撮影:今井康一)
なぜ、何のために生きているのか。ふとしたときに、疑問に思ったことはないだろうか。生命の起源や進化を研究する著者もそうだった。
本書は「なぜ死にたくないのか」「なぜ他人が気になるのか」といった普遍的な5つの疑問を、進化生物学の視点から解き明かす。決して難しい学問の本というわけではない。日々悩んでしまう人に、考えるヒントをくれる1冊だ。
増えるものたちの進化生物学 (ちくまプリマー新書 423)
『増えるものたちの進化生物学』(市橋伯一 著/ちくまプリマー新書/880円/192ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

──若い頃のご自身に向けて書いた本なのですね。

理屈っぽく、よく悩んでしまう子どもでした。「何で生きているのだろう」と疑問に思いながら、その答えを見つけられない。何者かになりたいと思いながらも、どう進めばよいかわからない。親や友達に相談することもできず、悶々としていました。

その後、生命の起源や進化を研究するようになり、若い頃に抱いていた疑問に、科学的な答えを見つけることができました。この本は、かつての自分に今の自分が答えたようなところがあります。

人間を含むすべての生き物は、何か使命をもって生まれたわけではありません。生きているのは、進化の結果です。

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