
笠井亮平(かさい・りょうへい)/岐阜女子大学南アジア研究センター特別客員准教授。1976年愛知県生まれ。中央大学総合政策学部卒業。青山学院大学大学院国際政治経済学研究科で修士号取得。著書に『インパールの戦い ほんとうに「愚戦」だったのか』『モディが変えるインド』『インド独立の志士「朝子」』など。訳書にS・ジャイシャンカル著『インド外交の流儀』など。(撮影:今井康一)
2023年に中国を抜き、人口世界一となった。同時に、経済・軍事面でも大国としての存在感が増している。2大広域構想「一帯一路」と「自由で開かれたインド太平洋」のキープレーヤーとして浮上するインドの行動を規定する、その思考とは。
──インドの存在感が増しています。とくにウクライナ戦争以降、ロシアとの関係などで注目を集めました。
確かにそうですね。インドに対してグローバルな期待が持たれ始めたのは00年代初頭に「BRICs」という言葉が登場し、その中の1国に位置づけられてからです。1990年代ごろまでの「貧しいインド」という印象も、それ以降、急速に変わりました。
──日本も米国も、インドを重要なパートナーとしていますね。
日本は14年にインドとの関係を、それまでの戦略的グローバル・パートナーシップから「特別」戦略的グローバル・パートナーシップに格上げしました。日米豪とインドで構成される「Quad」としての関係も強まっています。
米国もインドを外交上の主要パートナーとみています。これは、05年に民生用原子力協力を進めていくことに合意してから本格化しました。インドはNPT(核不拡散条約)に加盟していません。にもかかわらず米国は、インドの核保有を事実上追認した形になっています。
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