日中交流に30年以上も従事し、「親中派」を任じていた著者は2016年7月にスパイ容疑により北京で拘束され、懲役6年の実刑判決を受けた。中国での理不尽で苛酷な日々を振り返る。
──2023年3月には、アステラス製薬の北京駐在員が「反スパイ法」違反容疑で拘束されました。同法違反で拘束された日本人は、鈴木さんを含め少なくとも17人いるとみられますが、その経験を公にする例は極めて珍しいです。
反スパイ法違反で拘束された場合は容疑が公表されない。だから私が中国でなぜ収監されたのかは自分で言わないと誰にも伝わらない。まして私はスパイ行為など働いていないので、自分の潔白を明らかにしたかった。
現在の中国では「国家安全」の一部とされる分野がどんどん拡大している。スパイ容疑で拘束される日本人はこれから増えかねず、それに備えた危機管理のためにも情報を共有する必要がある。
世間話からスパイ容疑で拘束
──帰国のため北京の空港に向かった際に拘束され、そこから厳しい取り調べが始まりました。
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