30歳の若きバンカーだった著者が英ロンドンに赴任したのは1988年のこと。都市銀行の支店を拠点に中近東やアフリカの国々を飛び回り、国際協調融資の案件を開拓した。その経験と知見は作家として物した数多くの経済小説に生かされてきたが、35年の時を経て、当時をありのままにつづったのが本作だ。
──タイトルの意味は。
「メイク・アンバンカブルズ・バンカブル」(銀行取引に適さないものを適するように変える)。当時、心の中でつねに唱えていた言葉です。
中近東やアフリカの借り手は信用力が低く、そのままでは融資できません。何をどうやって担保に取り、どういうストラクチャーで返済を確実にするのか。必ず融資できるようにしてやるとまなじりを決して飛行機に乗り、相手と交渉していました。
国ごとに人種も違えば考え方も違い、それが返済の可能性に影響してきます。単に外貨準備や経常収支だけで判断できるものではありません。国際審査部の厳しい稟議を通すために、徹底的に調べて議論しました。
──「アンバンカブル」な案件にひかれるのですか。
誰にでもできる案件をやっても何の面白みもありません。できないものをできるようにするから面白いのです。
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