「お買物で幸せ」は古い!女子は今日も遠征する 『ガールズ・アーバン・スタディーズ』大貫恵佳氏

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『ガールズ・アーバン・ スタディーズ』著者の大貫恵佳氏
大貫恵佳(おおぬき・さとか)/駒沢女子大学准教授。1978年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科社会学専攻博士課程単位取得退学。2012年駒沢女子大学人文学部人間関係学科専任講師、18年准教授。20年から同大学人間総合学群人間文化学類人間関係専攻准教授(現職)。分担執筆での著書に『コミュニケーションの社会学』など。(撮影:今井康一)
ショッピングモール、遠征、一人外食、夜職(よるしょく)……。街を闊歩する今ドキ女子と都市の関係性を、15人が15のトピックから切り取る。見慣れた日常風景を掘り下げていくと、女子にとって不自由な都市のリアリティーも。編著者を代表して話を聞いた。
ガールズ・アーバン・スタディーズ: 「女子」たちの遊ぶ・つながる・生き抜く
『ガールズ・アーバン・スタディーズ: 「女子」たちの遊ぶ・つながる・生き抜く』(大貫恵佳 著/法律文化社/3300円/273ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

──最初この本の草案を聞かされたとき、「ビンゴ!」ときたとか。

共編著者の一人から、女性の視点で都市を捉え直した教科書を作ろうと持ちかけられたときでした。同世代の女子大教員同士、日々覚える違和感は一緒だったんだなと。

授業で社会学の権威による都市文化論を、学生時代の自分が面白いと思っていたままに学生たちに話すと、彼女らにはあまり響いていない。どこか芯を外している、と感じていた。従来の社会学の教科書は、各論的に女子を扱っていても、あくまで周縁。そんな歴史的経緯があって、女の子自身あまり意識しないまま、いろいろ工夫して都市を生き抜いているんです。

──具体的にはどんなズレが?

かつて都市の女性は、おしゃれな街でブランドの服を着て買い物を楽しむ存在として描かれました。今は、おしゃれはしても当時ほどブランドに興味はないし、街に出なくてもネットで買える。時代的にも経済的にも都市がそういう舞台にならなくなった。

それを論じる都市論も出ているけど、上の世代の知識人は「渋谷には渋谷、銀座には銀座の歴史や文化、ファッションがあった時代のほうが格上」と考えがちです。でも今の女の子たちが最も快適で安心できるのはショッピングモール。モールを均質的で無個性とさげすむのに対し、モールの何が悪いの?と。

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