コロナ明け登山者増、身近な山にも「遭難」の危険 『「おかえり」と言える、その日まで』中村富士美氏に聞く

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『「おかえり」と言える、 その日まで』著者で山岳遭難捜索チームLiSS代表の中村富士美氏
中村富士美(なかむら・ふじみ)/山岳遭難捜索チームLiSS代表。1978年生まれ、東京出身。山岳行方不明者の遭難捜索活動および行方不明者の家族サポートを行う民間の山岳遭難捜索チームLiSS代表。遭難事故の行方不明者について、丁寧な聞き取りをしながら、家族に寄り添った捜索活動を行っている。
コロナ禍が明けたこの夏、山に人が戻り始めている。山に登る人が増えると、遭難も増える。
著者は山で行方不明になった人を捜索し、遭難者の家族をサポートする民間の遭難捜索チームの代表だ。家族の苦悩に寄り添った6つの経験談を本に収録した。
「おかえり」と言える、その日まで 山岳遭難捜索の現場から
『「おかえり」と言える、その日まで 山岳遭難捜索の現場から』(中村富士美 著/新潮社/1540円/160ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

──小学生が遠足で登る里山でも遭難があることに驚きました。

遭難と聞くと、プロの登山家が登るような険しい山をイメージするかもしれません。しかし実際には、里山や低い山での遭難がほとんどです。週末のレジャーで訪れて道に迷い、行方不明になるというケースも後を絶ちません。

それもささいなきっかけで道に迷うのです。道案内の看板の向きが風で変わっていた、地図代わりにしていた写真の風景が変わっていたなどです。

私が最初に遭難捜索に関わったのは、小学生が遠足で登ることもある奥多摩の里山でした。この山で、3年間行方不明になっていた方の白骨化したご遺体を見つけました。

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