日本でも敵対的買収やアクティビズムが日常に 『敵対的買収とアクティビスト』太田洋氏に聞く

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『敵対的買収とアクティビスト』著者の太田 洋氏
太田 洋(おおた・よう)/西村あさひ法律事務所 パートナー。1967年生まれ。91年東京大学法学部卒業。93年弁護士登録。2000年米ハーバード・ロースクールで修士号取得、01年米ニューヨーク州弁護士登録。法務省民事局付(任期付任用公務員)、東京大学大学院法学政治学研究科教授などを歴任。(撮影:梅谷秀司)
新聞やテレビで毎日のようにその動向が伝えられる敵対的買収やアクティビスト。横文字が多く、難解な印象が強い分野だ。
企業法務のトップランナーが、過去の事例や海外の諸制度に触れつつ、問題の全体像を解説した。
敵対的買収とアクティビスト (岩波新書 新赤版 1973)
『敵対的買収とアクティビスト (岩波新書 新赤版 1973)』(太田 洋 著/岩波新書/1100円/270ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

──深夜に「明日会社に来てほしい」との電話を受け、東京機械製作所の案件に関わることになったという導入が印象的です。執筆のきっかけを教えてください。

6月の株主総会シーズンになると、マスコミから取材を受ける機会が増える。だが、この分野で全体像を1冊にまとめた一般向けの書籍がなく、マスコミの方や、その先にいる読者に意図が十分伝わらないというもどかしさがあった。

例えば今年は「一般株主だけの意向を問うマジョリティー・オブ・マイノリティー(MoM)決議は米国では認められているのか」といった質問をよく受けた。

しかし米国では、買収防衛策の1つであるポイズンピルを、取締役会の決議だけで導入できる。総会決議が必要とされる日本とは法制度が異なるため、「そもそもMoM決議が必要になる事象自体が存在しません」という回答になる。

機関投資家からも同じような質問を受けることがある。日本では敵対的買収について、個別の現象のみが紹介されることが多い。背景にある制度や環境と併せて説明すれば、法律の専門家以外にも理解してもらえるのではないかと考え、以前から構想していた。

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