スタートアップとの協業失敗を決定づける元凶 『企業進化を加速する「ポリネーター」の行動原則』著者に聞く

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『企業進化を加速する 「ポリネーター」の 行動原則』著者の中垣徹二郎氏
中垣徹二郎(なかがき・てつじろう)/ベンチャーキャピタリスト。1973年生まれ。早稲田大学法学部卒業後、96年日本アジア投資(JAIC)入社。2011年DFJ JAIC Ventures(現DNX Ventures)設立。ジェネラルパートナーを務める3号ファンドまでに機関投資家、国内大手事業会社から出資を募りファンド運用総額600億円。(撮影:梅谷秀司)
ポリネーターとは、花粉を運び受粉させる蜜蜂のような存在。日本の伝統的大企業と米シリコンバレーのスタートアップとの協業を支援してきた著者は、その歯車役となる人々をポリネーターに例える。花粉を運び、両者の長所をかみ合わせ、駆動していく重要な役割。華々しく船出するも徐々に失速する例で多いのは、このポリネーターの不在だという。
企業進化を加速する「ポリネーター」の行動原則 スタートアップ×伝統企業
『企業進化を加速する「ポリネーター」の行動原則 スタートアップ×伝統企業』(中垣徹二郎 著/日経BP/2420円/380ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

──今回、ポリネーターにクローズアップして書かれた目的は?

既存事業頼みから抜け出せない伝統的企業が、どうやって新しいことに挑戦していくか。自社開発・内製主義への傾倒を脱し、外部の力も使って新しい事業を創出し競争力を高めようというのがオープンイノベーション。提唱されて20年、だいぶ定着したかなという気はしています。シリコンバレーに開発拠点を持つ企業数で日本は海外勢1位ですが、残念ながら成果はいま一つ。オープンイノベーションで実績を上げる企業に共通するのがポリネーターの存在で、彼らの重要性をもっと広く知ってほしいと思いました。

会社規模も違えば、ビジネスモデル、動き方も違う企業同士が組むのは大変です。3年経って売上高が数千万円だと、大企業内部では「何やってるの?」って話になりやすい。実際は想定線でも、数字にインパクトがないから評価がすごく難しい。日々たいへんな苦労の割に、報われないのがポリネーターなんです。オープンイノベーションを志向する会社は、彼らが活きる仕組みづくりへ意識的に動いてほしい。いつまでも本職の“ついで業務”扱いしている会社では、彼らの異動や転職で機能がストップする例も少なくないんです。

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