また、それぞれの声や楽器の音が粒立って聴こえてくるので「ごまかし」も難しい。さらには照明がビカビカっと光ったり、花火がドーンと弾けたりなどの「めくらまし」も使えない。
要するに「tiny desk=小さな机」とは、そんな「こけおどし・ごまかし・めくらまし」が一切、利かない空間なのだ。
とどのつまり、試されるのは、メンバー1人ひとりの腕っぷし、声っぷしなのである。
先行版で藤井風が見せ付けたもの
今年の3月16日、先立って藤井風の出演する『tiny desk concerts JAPAN』の先行版が放送された。予想されたことではあったが圧巻だった。
歌にキーボードに、藤井風のフィジカルエリートぶりを見せ付けられ、「Yahoo!ニュース エキスパート」というメディアに私はこう書いた。
――変幻自在のボーカルやバックの優秀な演奏にも目を見張りましたが、個人的には、藤井風がキーボードを操る姿が目にこびり付いて離れません。何というか、鍵盤が両手にまとわり付いている感じがするのです。幼い頃から鍵盤が好きで好きで、弾いて弾いて弾きまくった人だけが出せる味だと思いました。
見せ付けられたのは藤井風の腕っぷし、声っぷし、つまり風っぷし――。
そして『tiny desk concerts JAPAN』は、この秋、レギュラー化され、初回(9月30日)はB'zの稲葉浩志、10月7日はKIRINJI、10月14日が君島大空合奏形態、そして10月28日にくるりと、何とも個性的なラインナップが出演し続けている。
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