日本人に多い「会社嫌い」なぜ深刻な問題なのか 社員を機械のように考えるマネジメントの誤り

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身体的同調(ラジオ体操、ダンス、合唱、笑など)は、エンドルフィンの効果を増幅し絆を強くするというのに、個の独立志向を重視するがゆえ、それを取り止めたように見られているのは興味深い。現代に合う身体的同調行動を探すべきかもしれない。

バブル崩壊後の日本企業では、日本的経営を構成していた多くの制度や習慣を悪しきものとして捨て去っていった。しかし、それらの中には社会脳によるルールに適っていたものも多かったのではないだろうか。本書を読んでいると、そういう思いにかられることが幾度もある。

従業員エンゲージメントが低い日本企業

毎年米ギャラップ社が発表している従業員エンゲージメント調査によると、今年も日本は139か国中最下位レベルである。

従業員エンゲージメントが低いということは職場がトライブとなっておらず、個のウェルビーイングレベルも低いと考えられる。そういう組織では生産性は上がらず、イノベーションも生まれにくいという。どこで道を誤ってしまったのだろう。

『「組織と人数」の絶対法則』は、筆者が2021年に著した『人の顔した組織』(東洋経済新報社刊)と重なる部分が多いと感じた。どちらも組織を機械のアナロジーで語るべきではないとの主張から議論をスタートしている。

その前提に立つならば、日本企業にはアドバンテージがあるはずと信じたい。かつて日本企業が得意とし、現在は失われてしまったかのような社員個々のウェルビーイングと組織能力向上の両立。本書からは、それを現代に即した形で実現させるためのヒントが得られるだろう。

福澤 英弘 株式会社アダット代表取締役

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ふくざわ ひでひろ / HIdehiro Fukuzawa

上智大学経済学部卒業。慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了。富士銀行、コーポレイト ディレクションを経て、グロービスの設立に参加。創業時より企業向け人材・組織開発部門の責任者を務めた後、2007年に株式会社アダットを設立。主に大手企業に対して、戦略意図に沿った組織能力を開発することを支援。主な著書に『人の顔した組織』(東洋経済新報社)、『人材開発マネジメントブック』(日本経済新聞出版社)、『図解で学ぶビジネス理論 戦略編』(日本能率協会マネジメントセンター)、『定量分析実践講座』(ファーストプレス)などがある。現在、京都芸術大学大学院在学中。

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