ゼネコン「けんせつ探検隊」がひっそりと蒔いた種 親子参加の体験会で「今の建設現場」を伝える

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江戸東京博物館の工事現場では、施設内にカップラーメンやカレーなどを販売する売店が設置されている。職人が外に買い出しに行く手間を減らすためだ。トイレはもちろん水洗で、シャワールームも設置している。

「環境が整った現場でないと、今は協力会社も来てくれない。協力会社は職場環境を見て現場を選んでいる」。塩見和範作業所長(大成建設)はそう話す。

中井常務は「現場を見ていただいて、(労働環境が向上していることを)実感していただくのが大事。地道だけども、ちょっとずつ積み重ねてきた」と力を込める。

業界団体が地道に続けたイベントが、業界の魅力の向上に一役買っていることは間違いないだろう。

若者の流入が減っていることを深刻視される建設業だが、実はここ数年、大学や大学院の新卒者が建設技術者として就職する数が増えている。とくに「建設女子」と言われる女性の技術者が増加中だ。いまや建設技術者として就職する学生の4人に1人は、女性が占めるようになっているのだ。

けんせつ探検隊がスタートしたのは2015年。中学生のときにイベントを体験し、大学卒業後に建設業に入職している人がいたとしても不思議ではない。

「建設業もいいな」と参加生徒

「建設業に入職する方は子どものとき、あるいは学生時代のどこかのタイミングで、建設業と何らかの接点があったケースが多い」と、日建連の広報担当・遠藤真理子氏は話す。

探検隊終了時にはアンケートが実施される。その中の1つに、次の記述があった。

「(将来の仕事として)もともと違う職業を考えていたけど、建設業もいいなと思うようになった」。中学生の女の子の言葉だった。遠藤氏は破顔一笑する。「やってよかったな。本当にそう思った」。

3K(きつい、汚い、危険)と言われ続けてきた建設業界だが、業界上げてのイメージ向上策により、悪しき印象を払拭できるか。変化の兆しは出てきている。

梅咲 恵司 東洋経済 記者

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うめさき けいじ / Keiji Umesaki

ゼネコン・建設業界を担当。過去に小売り、不動産、精密業界などを担当。『週刊東洋経済』臨時増刊号「名古屋臨増2017年版」編集長。著書に『百貨店・デパート興亡史』(イースト・プレス)。

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