ゼネコン「けんせつ探検隊」がひっそりと蒔いた種 親子参加の体験会で「今の建設現場」を伝える

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けんせつ探検隊
「江戸東京博物館」(東京都墨田区)の改修工事において、今年7月に行われた「けんせつ探険隊」の様子。20名の応募枠に150名の応募があった(当日の実際の参加者は19名、記者撮影)

「今日もケガをしないようにして、頑張ろう」。職人をまとめる棟梁がそう呼びかけると、子どもたちが一斉に呼応した。「おう」。

「クロス釘」と呼ばれるポイントとポイントに、チョークラインを引いていく。一般にはあまり知られていない「墨出し」作業(施工図の情報を現場に記す作業)だ。子どもたちは職人のアドバイスを受けながら、熱心に作業に向き合った。

建設現場の魅力を伝え、若い層の入職を増やしたい。ゼネコン関係者がそんな思いを込めて10年近く蒔き続けてきた種が、ようやく芽を出し、花を咲かせようとしている。

当選倍率が10倍になる現場も

業界団体である日本建設業連合会(日建連)が近年、力を入れている業務の一つが親子向けの現場見学会「けんせつ探検隊」だ。小・中学生と保護者を対象に全国各地で主に夏休みの期間に開催している。

2015年度にスタートしたこのイベント。今2024年度は過去最大の全国22現場で実施する計画(天候の影響で1現場中止)だ。

10月初旬時点での参加人数は合計398名。あと3会場での開催を残しているが、参加人数はこれまで最多の2016年度の414名を上回るのは確実だ。中には、限定30名の応募枠におよそ300名の申し込み、つまり当選倍率が10倍になる現場もあった。

「街を歩いていると建設工事中の現場を数多く見かけるだろうが、一般の人は仮囲いの中でどのような作業が行われているのかを知らない。今の建設現場は『新4K』と言われるように、給与や休暇に加えて希望やカッコよさがある。工事に真剣に取り組む現場監督の姿などリアルの現場を子どもたちに見ていただきたい」

日建連の中井博喜常務執行役員はこう強調する。

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