破竹の勢いを見せる「インド」は日本を超えるのか 市場価値は高まる一方、埋まらない貧富の格差

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インド経済の内実を見ると、著しい格差と不平等が広がっている。

インド人のほとんどは田舎に住んでおり栄養失調の人たちも多い。その一方で、高級品の売り上げは、新型コロナウイルス感染症の拡大以降、急増した。雇用も実は厳しい状態が続いている。失業率も高止まりが続いている。生産年齢人口の増加に雇用創出が追いついていない。

1人当たりGDPは2000ドルを超えたが、国民の4割超が世界銀行の貧困ライン以下で暮らす。統計に上がってこないインフォーマルセクターの「隠れた失業」はさらに多い。

モディ首相による経済成功物語

モディ経済の過去10年間でインドは確かに成長した。注意しなければならないのは、実はその前の10年間も成長を続けてきているということだ。

モディの前任で経済学者マンモハン・シンの首相在任期間中にも今と同じ高成長を続けてきている。ところが、その成長をもたらしたのが誰なのか。インドは今その成功の理由をモディという政治家1人に集約しようとしている。

インドの経済成功物語は、トップのモディ首相のメディア政治家としての印象で楽観的な好イメージが増幅している。モディ政治の特徴は、ショーマンシップを武器に権力を行使してきたことだ。

政治家は元来、ショーマンである。自らの政策を説得力のあるあらゆる手段を使って訴え、政権を維持し国民の合意形成を図っていくものだ。それゆえショーマンであることの是非は、公約が実現されたかや有権者の満足度を増したのかという結果から歴史が評価することになる。

ベンガルール市内では、医療施設のビルの道路に面した1階に貼られたモディ首相のポスターの上に、本人の目を隠すような形で新聞紙が貼られていたのを見かけた。明らかにモディ首相に対する不満を表すものだった。

しかしそうしたモディへの反発運動や、市民の抗議の意思表示を見ることは珍しい。農業政策に対する抗議デモなどはあっても批判の矛先がモディ個人の資質に向けられることは少ない。

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