「しにくい」を「しやすい」に変えるたった一つの技 車もイスも「ステイタス」だけで選ばれなくなった

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「働きにくい」を「働きやすい」に変える方法とは?(写真:takeuchi masato/PIXTA)
さまざまな商品やサービスを購入する際、「選びやすい/買いやすい」場合と「選びにくい/買いにくい」場合があります。その差はどこにあるのでしょうか。
世の中にあふれる「しにくい」を「しやすい」に変えるのに必要なのは「分ける技術」。コクヨのワークライフスタイルコンサルタント・下地寛也さんの著書で、ありそうでなかった「しにくい」の解決を探った『「しやすい」の作りかた』より一部抜粋、再構成してお届けします。

「選びやすい」は時代とともに変わる

私が小学生だった1970年代、トヨタの自動車は「職階」を分けるシンボルとなっていた。若手は「カローラ」に乗り、主任になれば「コロナ」、課長は「マークⅡ」、部長以上になると「クラウン」という感じ。車は自分の役職によって分かれていて、それが選択のわかりやすい基準となっていた。

当時は、車好きの人が「マークⅡ」を買いたいと思っても、自分の上司が「コロナ」に乗っているなら気を遣って、それより下のランクの車を買う風潮もあったそうだ。その理由は、ゴルフに行くときに上司よりランクの高い車に乗っているとバツが悪いことだったらしい。

当時のCMにも「いつかはクラウン」というキャッチコピーがあった。これは「いつかは部長」と言い換えてもしっくり来る。

自動車の営業担当者もお客様の役職がわかれば、どの車を勧めればいいのかがわかりやすかっただろう。売るほうにとっても、買うほうにとっても「ステイタス(どの役職か)」はとてもシンプルな車選びの基準だったのだ。

余談になるが、子供の頃に見て、今でも記憶に残っているトヨタのCMのフレーズがある。

「カリーナなのにクラウンみたいな装備」

「カリーナ」は「コロナ」と似たレベルの車なので、「主任なのに部長のような実力」といった満足感が得られるというセールスポイントがわかりやすかったのかもしれない。ある車の良さを説明するために、それよりランクの高い車を引き合いに出して説明する方法に対して子供ごころに違和感を持ったが、今でも覚えているし、たしかに良さがわかりやすく伝わるので良いCMだったのだろう。

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