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キャリア・教育 #「しやすい」の作りかた

「しにくい」を「しやすい」に変えるたった一つの技 車もイスも「ステイタス」だけで選ばれなくなった

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  • 下地 寛也 コクヨ株式会社ワークスタイルコンサルタント、エスケイブレイン代表
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ステイタスに合わせた、わかりやすい車種のラインナップを用意していた当時のトヨタにも泣き所があった。部長から役員になったときの車がなかったのだ。役員になって「クラウン」から買い換えるとすれば、多くの人が「メルセデス・ベンツ」や「BMW」などのドイツ車にいってしまう。

トヨタには役員向けの車として「センチュリー」という車種があったが、これは運転手に運転させるタイプの車だ。トヨタとしても歯がゆい思いだったに違いない。

そこで、1989年に「セルシオ」という「クラウン」より上位ランクの車を作った。さらに高級車ブランドはトヨタと分けて「レクサス」と名づけてハイグレードなブランドイメージを獲得。結果、役員クラスの人でもトヨタグループの車を「選びやすい」状況を作ることに成功したわけだ。

「ステイタス」より「ライフスタイル」で

しかし、車の選び方も最近では大きく変わってきている。「ステイタス」より「ライフスタイル」に合わせて分けられているほうが、ユーザーはしっくりくるし、選びやすくなったのだ。

町中での足として使う人はコンパクトな車(トヨタでいうと「アクア」など)、ファミリー向けの生活を大切にする人はミニバンの車(「ノア」など)、アウトドア派の人にはSUVの車(「ランドクルーザー」など)、といった具合だ。

また、今の若い世代の人たちは車を持たないことも当たり前になっている。昔はかっこいい車に乗って女性にモテたいという男性が多かったが、今の若い世代の人たちはあまりそのようには考えない。むしろ、1台の車を時間で分けて使う「カーシェア」のほうが、車を手軽に「使いやすい」と考える人も増えている。

このように車の選び方にも、「役職に合わせて選ぶ」→「ライフスタイルに合わせて選ぶ」→「利用する時間に合わせて選ぶ」という変化が起こってきた。

もしも、作り手が時代を見誤って分け方を間違えてしまうと、その商品は消費者にとって「選びにくい」「買いにくい」ものになってしまうだろう。

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【なぜ役員のイスは革張りなのか】

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