K係長本人に証拠となる書き込みのプリントを突きつけると同時に、厳重注意を行うと、納得いかない様子。謝罪の言葉を述べるも、心からのものでないことは明白だった。すると、事務センターへの着任を前に、自ら退職。職場を去っていった。
実は、この行動は我々の読み通りでもあった。プライドの高いK係長なら、本社からの異動を不服に感じて、すぐに辞めると踏んでいたからだ。懲戒処分にしなかったのは、会社側からの、せめてもの温情であった。
人を見下す常務が起こした失態
一般社員のみならず、経営層の中にも、"悪口"がきっかけで職を追われた人もいる。
これは、私がとあるベンチャーに勤めていた際に勃発した、常務取締役のTさん(50歳・男性)のケースだ。
Tさんは超難関大学の出身であり、数々の大手企業で実績をあげた華麗なる経歴の持ち主。キレ者で頭の回転が速く、経営層の中でも発言力が大きい印象があった。
だが、Tさんには一つ、問題があった。それは自分が優秀であるがゆえに、人を見下す癖があることだった。
部下との飲み会や少人数のミーティングで、他者への見下し発言がちらほら。副社長のことを、「あいつ使えねぇよな」と漏らしたかと思えば、執行役員の面々を「あいつら頭、悪いんだよ」と悪態をつくことも多かった。
そんなある日、事件は起きた。Tさんと営業部の部下2名、そして大口取引先の役員、計4人で飲み会が開かれたときだった。お酒が入って気が緩んだTさんは、ついついいつものように、近しい役員たちへの悪態をつき始めた。
部下たちが一斉に凍りついたのは、Tさんがいよいよ社長の悪口を言い出したときだ。
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