「苦手なこと」は克服するのではなく"回避する" 「恐怖」は人が生きていくために必要不可欠

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ですから、もし今何かに対する恐怖や不安があるなら、少しふり返って「自分が今何に困っているのか」「何を解決しないといけないのか」を考えたらいいのではないでしょうか。

就職して、電話がとてもこわくなったという人は、もしかしたら、職場の環境や仕事そのものに問題があるのかもしれません。あるいは人間関係に行き詰まっている可能性もあります。

原因がどこにあるのかふり返ってみて、原因を取り除くことを考えてみてもいいと思います。原因が解決できれば、私の手洗い恐怖のように、いつのまにかなくなっていることもあるかもしれません。

恐怖心が人間性を磨く

それに恐怖心は悪い影響ばかり与えるものではありません。それがあることで、逆に生きる原動力になっている面があります。欠点と同じように「自分のこういうところがダメだから、ここをがんばろう」と健全な方向に成長する力になるのです。

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たとえば恐怖症の人は心配性でもあるので、商談の時間に遅れるのが心配だから早めに会社を出たとします。すると電車が遅れても、時間に十分間に合って取り引きがうまくいった、というようなこともあるでしょう。

恐怖心や不安感があるからこそ、準備万端整えたり、最悪にそなえて打開策を考えたりしておけるといえます。つまり視野が広がり、ビジネスの力もついてくるというわけです。

電話への恐怖心を克服するために、いろいろなことを実践するうちに、ビジネス力も人間性も磨かれていけば、「電話恐怖症があってよかった」とさえ思えるようになるかもしれません。

電話に限らず、苦手とうまく付き合うことも大切なスキルだと思います。すべてを完璧にしようとせずに、気持ちにゆとりをもって過ごせることこそが、恐怖心を払しょくするために必要なセオリーです。

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大野 萌子 日本メンタルアップ支援機構 代表理事

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おおの もえこ / Moeko Ohno

法政大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ資格認定機関)代表理事、産業カウンセラー、2級キャリアコンサルティング技能士。企業内健康管理室カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメントなどの分野を得意とする。現在は防衛省、文部科学省などの官公庁をはじめ、大手企業、大学、医療機関などで年間120件以上の講演・研修を行い、机上の空論ではない「生きたメンタルヘルス対策」を提供している。著書に『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』(サンマーク出版)がある。

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