フィンランドの彼女が「ちょっといい卵」買う理由 欧州に広がる「ソーシャルジャスティス」とは?

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卵は必ずオーガニック。EUのオーガニック基準では、オーガニック飼料を使うだけでなく、群れあたりの飼育羽数や飼育環境にも基準があり、鶏にストレスの少ない環境で育てられている。「何でもかんでもオーガニックを選ぶわけではないけれど、卵は高くてもオーガニックのものを買うと決めているの。鶏が生き生きと生活できる環境で育てられているからね」と彼女は言う。

日本の卵は鶏舎でのケージ飼いが一般的。一羽あたりの床面積はB5サイズ程度しかなく、過密な環境でのストレスや、つつきあいで羽は落ちてボロボロな姿になる。低コストで衛生的に卵を生産できる日本の鶏舎技術は世界でも高い水準で、「価格の優等生」と呼ばれる卵を供給し続けた貢献は大きい。

一方で、アニマルウェルフェア観点からは課題があるのもたしかで、EUではケージ飼いは禁止されている。なのでどの卵を買っても軽量ケージや平飼いなど「それなりにいい環境」で育ったことは保証されている。しかし彼女は獣医という職業柄もあって、家畜の飼育環境には関心が高く、それでは十分でないと感じるのだそうだ。

「オーガニックの規定を満たした養鶏場のほうが、より広々とした自由な環境で鶏を飼育している。私は喜んでそこにお金を使いたいと思うの」。スーパーに行けばひたすら一番安い卵を狙って買う自分は、一緒に買い物に行くたび常に恥ずかしくてならなかった。

商品パッケージにもさまざまな「メッセージ」

別の家族と年末のスーパーに行った時は、クリスマス後で安くなっているスモークサーモンを手に取った母さんがふと手を止めた。「こっちはノルウェー産だけれどあっちはフィンランド産でMSC認証付き。認証はあんまりわかんないけど、少しの値段差ならあっちにしようかね」と棚に戻して1割ほど割高な方に手を伸ばした。MSC認証とは、水産資源等に配慮した持続可能な漁業に関する認証だ。

マーガリンの蓋を開ければ、「この容器は従来のものより38%プラスチック使用量を削減しておりリサイクル可能です」という中蓋のメッセージに遭遇する。

マーガリンの蓋をあけると……なお「エルフ」はブランド名「Keiju」の誤訳(写真:筆者撮影、Google翻訳を使用)

チョコの箱を開けると、原料のカカオ豆がいかに公正で環境負荷の低い方法で生産されたかが語られている。お米のミルク粥の作り方を確認しようと米の袋の背面を返したら、レシピではなく「省エネクッキングのコツ」が指南された。なんてこった。

お米のパッケージの裏には、「もっと環境にやさしい行動をするには」のヒントが。(写真:筆者撮影、Google翻訳を使用)
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