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フィンランドの彼女が「ちょっといい卵」買う理由 欧州に広がる「ソーシャルジャスティス」とは?

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日本はそういった意味での革命が起こらず、古代より皇室が途絶えることなく続いてきた。確かに明治維新を経て政治は民主政治に移行したのでこれを革命とみることもできなくはないが、明治維新では西洋の革命に見られるような旧体制の打破や血生臭い争いは最小限に抑えられ、旧体制を残しつつ改変していくというものであったので根本的に性質が異なる。

そういうわけで、実は世界で最も長い連続性をもつ国なのである。欧米に比べて、選挙の投票率が低かったり政治参画意識が薄いと言われるのも、単に「意識が低い」という話ではなく、そういった歴史の連続性の中で生きていることが一因にあると考えることができるのではないか。深読みしすぎかもしれないが、そう考えると自分が悪い人間なんじゃないかという後ろめたさも少し救われるのでそう信じたい。

ソフィアさんも私も、リコリスという黒いキャンディが大好きで、長いのを切って夕飯後延々と食べ続けた(筆者撮影)

「環境が悪くなるのも、過酷な労働も、しわよせを受けるのはこの社会の中で弱い立場の人たちでしょう。移民もジェンダーもアニマルウェルフェアも、全部そう。自分がものを買うことで悪い社会に加担してしまいたくない、そういうことだと思うんだよね」。ソフィアさんの言葉は、確かに少しわかる気がした。

「社会のため」は「自分のため」?

「自分が住む家が汚れていたらいやじゃない?」の延長で「この社会が不当な営みの上に成立していたらいやじゃない?」という感覚なのだろうか。自分の生活する範囲をより広くとらえていると考えるとわかる気がする。

では日本にそういう思想がないかというとそうではなく、例えば被災地支援やコロナ禍での生産者支援としての「食べて応援」などは、集団意識を大事にすると言われる日本人らしい社会へのコミットメントではないだろうか。

ソーシャルジャスティスという言葉をまだ十分には理解できていないけれど、食が社会を作ることにこんなにも広く関わっていたのかと驚くとともに、食を通して社会が動かせるという確かな手応えと希望を感じたのだった。

帰りの空港に向かう道を運転してくれた。禿げた大地に見えて、雪が溶けた下からは青い草が顔を出していた(写真:筆者撮影)

ちなみに、ヨーロッパにおけるパッケージなどの変化の背景には、EU(ヨーロッパ連合)が掲げる欧州グリーンディールという政策イニシアティブなどの政治的な原動力もあることも無視できない。これについてはまた別の機会に触れることとしたい。

過去の連載はこちら
参考文献:
社会正義とILO(ILO駐日事務所)
Social and environmental justice (Forest Research)
「世界の奇跡」日本の天皇が滅びなかったワケ(宇山卓栄、東洋経済オンライン)

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