キューバ「オーガニック大国」になった意外な経緯 大国に振り回される中、たどりついた農業

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(写真: Ambeon/PIXTA)
日本でもオーガニック食材を扱う店はめずらしくなくなってきた。が、世界を見渡すと日本はこの分野においてはまだ後進国。一方で、意外なほどオーガニック農業が進んでいるのが、カリブ海に浮かぶ島国、キューバである。
世界の台所探検家として、世界の家庭を訪問しながら、それぞれの食の社会的背景を研究する岡根谷実里氏の『世界の食卓から社会が見える』からキューバがオーガニック農業大国になった経緯を紹介する。

意外なオーガニック農業先進国

オーガニック農業といったら、どんな国を思い浮かべるだろうか。

オーガニック農業は有機農業とも呼ばれるが、化学的に合成された肥料や農薬を使わず、農業生産と生態系との調和を図る農法のことだ。世界の国々の総農地に占めるオーガニック農地割合上位国を見ると、やはり想像通りというか、ヨーロッパの国々が並ぶ(世界平均は1.6%のところ、EU平均は9.1% )。ヨーロッパでは、健康や環境や資源循環への関心から、オーガニック農業への関心は年々高まっている。ちなみに日本は0.3%でケタが違う。

しかし、「オーガニック農業はヨーロッパで普及しています」という話では、おもしろくない。ここでは、統計に出てこない意外なオーガニック農業先進国「キューバ」に注目してみたい。

キューバは、中南米に位置する、カリブ海に浮かぶ島国だ。空港に降り立つと、熱い風とヤシの木に迎えられる。日本の本州の半分ほどの国土に、東京の人口よりやや少ないくらいの人々(1100万人)が暮らしている。

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