美しいほど怖い!生き霊になった女の「怨念」 「うらめしや展」の幽霊画はここが恐ろしい

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松園は最初、「生き霊」という題名をつけたが、露骨すぎるので「焔」に変えたそうだ。彼女が全力を注いだこの作品は、帝展の出品作だった。

「不特定多数の人に見てもらう展覧会芸術には、幽霊や生霊といった主題は向かないのに、あえて選んでいます。やはり自分の表現として描きたかったのでしょう。〈この絵を見れば、私がどんなに辛い思いをしたかわかるでしょう〉と誰かに言っているようで怖いですね」

男性に見て欲しい、嫉妬の表情

《生成(なまなり)》 一面 江戸時代中期 文化庁所管

 

 こちらの能面《生成》も、嫉妬で鬼になりかかっている女性を表している。金歯の間から真っ赤な舌がのぞき、頭に角が生え始めているが、まだ人の心を捨て切れていない。「鉄輪」という演目に用いられる。

「自分を捨てて後妻をとった夫への恨みから、丑の刻参りをする、嫉妬のかたまりの表情です。人間の姿をしていますが、心は煮えたぎり、般若(鬼女)になりかかっている。男性はよく見ておいてください」

 恨み、呪いという心の動きが、体の変化で表わされている。

「相手が般若になってしまったら闘うしかないけど、まだ人間らしさが残っているから余計に怖い。」

 

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