サハリンと日本、その「連なり」を感じる旅

奈良美智氏と石川直樹氏が見た「北方」

アーティストの奈良美智さんと探検家で写真家の石川直樹さんは、2014年に青森、北海道、サハリンを旅した。そのとき2人が撮った写真を中心に、地図、それぞれの蔵書、レコードなどを集めた展覧会が、外苑前のワタリウム美術館で5月24日まで開かれている。プレスビューとトークショーでの2人の話から、旅と展示作品の一部を紹介する。

なぜ彼らは北方へ?

ロシア領のサハリン島は、北海道のすぐ北にある大きな島だ。日露戦争から第二次世界大戦までは、日本がその南部を統治していた。北海道の最北端の都市である稚内から、サハリンのコルサコフという町までフェリーで5時間30分。4万円で往復できる外国だ。

そもそも、なぜこの2人が北方を旅することになったのだろう。

北海道にアイヌ語の地名が多いことは知られている。奈良美智さんは、自分が生まれ育った青森県にもアイヌ語の地名や言葉が残されていることに気がついた。例えば、アイヌ語で「川が2つに分かれているところ」を意味する「オコッペ」は、北海道では「興部」、青森県では「奥戸」という漢字を当てて地名になっている。

また、奈良さんは青森で猫のことを「チャペ」と呼んでいたが、アイヌ語辞典にも同じ言葉が載っている。これはアイヌの人が青森で覚えて使った言葉だという。

「江戸時代まではアイヌの人たちが青森県にも住んでいて、いろいろな痕跡が残っています。それを知って、青森のアイヌ語地名の土地を訪ねたいと思っていました。それとは別に、母方の祖父が樺太(現在のサハリン)とか千島列島で働いていたことを最近知り、ルーツをたどってみたくなったんです」(奈良さん)

そんなことをツイッターでつぶやいたら、編集者から「石川直樹さんと行ってみませんか」と言われた。石川さんは以前から北方の文化に関心を持ち、北海道やサハリンを訪ねていた。こうして、青森、北海道、サハリンと、3回にわたる2人旅が始まった。

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