大切なものを守るため、自らの“いのち”をかけて奮闘する少女クララの姿を描き出した、チャイコフスキー作曲による世界三大バレエのひとつ「くるみ割り人形」。
世界中で愛されてきた名作を、実写人形アニメーション化した1979年版映画をベースに、現代風にリ・クリエイトした極彩色のミュージカルファンタジー『くるみ割り人形』が11月29日から公開中だ。
最先端のデジタル映像技術で、極彩色かつカラフルな色彩設計を施した本作は、新たなアニメーション・パートを融合。さらに全編を3D空間へと押し広げるなど、新感覚の映像世界を提示している。さらに有村架純、松坂桃李、広末涼子、市村正親、藤井隆、大野拓朗、安蘭けい、吉田鋼太郎、由紀さおり、板野友美といった豪華メンバーで構成されているボイスキャストも注目だ。
本作で監督デビューを果たしたのは、きゃりーぱみゅぱみゅの美術演出を担当していることでも知られる増田セバスチャン。世界を席巻している“Kawaiiカルチャー”の火付け役であり、第一人者としても知られる彼に、原宿を通じて見えてくるもの、さらには「ルーツ・オブ・カワイイ」と評する本作について聞いた。
女の子側にすり寄ることはしない
――増田さんの自伝小説「家系図カッター」では、そのルーツに寺山修司があったと明かしています。また、プロレス雑誌のインタビューでは、「僕のあらゆる技はすべてプロレス技から拾った」と話していました。「原宿少女文化の旗手」という目で増田さんを見ていた私にとっては驚きでもあると同時に、親近感も抱いたのですが。
基本的に僕はアニメも観ないですし、そういう意味では、女の子の気持ちを代弁しているという気持ちはまったくないんです。
――しかし増田さんの提示する世界に、それこそ世界中の女の子たちが熱狂しています。彼女たちの気持ちをどうやって理解しているのでしょうか?
もちろん原宿で20年も店をやってきて、いろんな女の子を見てきたわけなので、女の子の感情というものはある程度は理解しています。10代後半から20代の女の子たちが原宿に吸い寄せられるようにやって来て、その中で、傷つき、悩みながら、原宿という街を通過していく。その瞬間は見ていますが、それに合わせるつもりはまったくない。はやりを追いかけたことはないですね。
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