増田セバスチャンが描く“カワイイ"の原点 『くるみ割り人形』で見えた女の子の気持ち

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(撮影:梅谷 秀司)

――先ほど、女の子に媚びるのではなく、新しい世界を提示するとおっしゃっていましたが、やはり『くるみ割り人形』も?

僕は20年間、原宿で活動してきたので、とにかく自分がわかる10代や20代前半の女の子に届けばいいやと思って作りました。しかし、いざ試写会をやってみると、いちばん反応していたのは、実は30代、40代の男性だったんですね。男性がキャピキャピしていたんです。自分たちは原宿とか、kawaiiには関係ないと思っていたのかもしれません。でもこの映画を通して、どうして彼女たちが原宿に集まって、自分たちの大事な時代を過ごしていくのか、それを理解できたという。この映画を通して、そういったことが翻訳できたのかなと思います。

きゃりーの成長と合致

――エンディングテーマとして、きゃりーぱみゅぱみゅさんの「おやすみ」が流れます。彼女のデビュー当時、18歳のときの歌声をそのまま使ったそうですが。

彼女も18歳から活動してきてここまで成長しました。そんな彼女と、クララが成長していくストーリーが合致するなと思って。彼女の歌が、まるでクララが歌っているような感じに思えたんです。なので、あえて撮り直しなどお願いせず、当時のままを使っています。

――それはきゃりーさんだから出来たというところもあるんでしょうね。増田さんにとってきゃりーさんはどういう存在なんですか? 共闘関係とか、ミューズとかいろんな言い方ができるかもしれないですが。

どうですかね。普段から連絡はとってますけど、妹とかではないですし……。とにかくリスペクトしてくれるので、先生と生徒みたいな感じですかね(笑)。あとは一緒に世界に出て行くオールジャパンの仲間みたいなかんじかな。

壬生 智裕 映画ライター

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みぶ ともひろ / Tomohiro Mibu

福岡県生まれ、東京育ちの映画ライター。映像制作会社で映画、Vシネマ、CMなどの撮影現場に従事したのち、フリーランスの映画ライターに転向。近年は年間400本以上のイベント、インタビュー取材などに駆け回る毎日で、とくに国内映画祭、映画館などがライフワーク。ライターのほかに編集者としても活動しており、映画祭パンフレット、3D撮影現場のヒアリング本、フィルムアーカイブなどの書籍も手がける。

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