『ゴジラ』が尖兵、東宝が描く海外戦略 市川南取締役、「ゴジラは東宝所属の俳優だ」

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 1954年に『ゴジラ』が誕生してから今年で60年。日本が世界に誇る「キング・オブ・モンスター」を、ハリウッドの超一流スタッフ・キャストの手で映画化した『GODZILLA ゴジラ』が7月25日より全国東宝系で劇場公開されている。日本に先駆け、5月より世界各国で公開された本作は、北米での公開3日の興行収入は約95億円、全世界での興行収入は約500億円に達する記録的な大ヒットとなっている。
 今回のハリウッド版『GODZILLA ゴジラ』は、オリジナル版のデザインや精神などに敬意を表した作りになっており、高い評価を得ている。早くも続編制作の構想があるとの報道も舞い込んできている。その「ゴジラ」、東宝の代表作品としてこれまで数多くのシリーズ作品が作られ、海外でも数多く上映されている。その東宝が「ゴジラ」にかける思い、そして海外戦略の展望をどう描いているのか――。同社で映画調整と映画企画を担当する市川南取締役に聞いた。
(C)2014 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. & LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS LLC

ゴジラは東宝所属の俳優

――ローランド・エメリッヒ監督がメガホンを執った1998年版『GODZILLA ゴジラ』は、エンターテインメント作品として評価する声もありますが、一般的には、ゴジラ映画としては批判が多かった作品だと思いますが。

確かに賛否両論があった作品なのですが、それでも多くの観客動員を得た作品です。吹き替え版と字幕版を合わせて興行収入(売上高に相当)は、50億円くらいいきました。ただ、今回はそれに続くシリーズではなく、あらためてゴジラを映画化したいという申し出があって始まった、新しいプロジェクトとなります。

東宝としては、ゴジラを俳優にたとえています。東宝に所属している俳優のゴジラをハリウッドに貸し出したという認識です。俳優ですから、出演料も頂戴します。さらにオプション的な報酬も東宝に入るという仕組みになっています。海外の興行はワーナー・ブラザーズが担当していますが、日本国内の劇場配給、ビデオ、テレビで販売する権利などは、東宝が預かってビジネスをする形を取っています。

――1998年版は、オリジナル版とは似ても似つかないトカゲのようなゴジラのデザインが、多くのゴジラファンの不評を買ったわけですが、今回の2014年版はオリジナルを尊重したデザインとなりました。今回、「これだけは尊重してほしい」といったリクエストはされたのでしょうか?

(C) 2014 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. & LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS LLC

前作を踏まえて、ゴジラのデザインをチェックさせてくださいということはお願いしました。しかし、幸いなことにギャレス・エドワーズ監督は大のゴジラファンでした。彼は子どもの頃から、ケーブルテレビで放送されていたゴジラを浴びるように見て育ったと聞いています。中でも、1954年の第1作が大好きで、日本のゴジラのデザインにも敬意がある。レジェンダリー社はクリエーターズ集団なので、そういう意味でベストな人選をしていただいたと思います。

もちろんレジェンダリー社の方もゴジラ好きで、東宝のスタッフが向こうに行ったときも、「ようこそ東宝の皆さん」と日本語で歓迎するゴジラのポスターを作ってくれましたし、われわれ東宝とのコミュニケーションもかなり良好でした。

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