――今回、大森監督にとっては初となる、本格的なレトロスペクティブとのことですが。
やはり1980年はわれらの時代という意識があって。そこから日本映画というものが、いろんな意味ですっかり変わってしまいました。そんなときに、80年代の映画に光を当ててもらえるのは、すごくありがたいことですよね。
――大森監督は、撮影所育ちではなく、自主制作というフィールドから映画監督に転身したという経歴をお持ちですが、監督のフィルモグラフィを振り返ると、プログラムピクチャー的な、ウェルメイドな作品を数多く手掛けているのが面白いなと思いました。
自分で言うのも何ですが、あの頃の映画って面白いですよ。いいか悪いかは別として、サービス精神がたっぷりで。とにかくお客さんを飽きさせないために、最初から突っ走っていますよね。時には息切れしてしまうときもありますが(笑)、そういった80年代のリズムってあるんですね。
――今回のプログラムは、監督自選とのことですが。
自選と言っても、これが難しいんですよ。それこそ本気で選んだら、DVDにもなっていなくて、あまり見られないようなマニアックなものを選びたくなるんですが、スタッフからもこれはやらなきゃ駄目とか、いろいろ言われるわけですよ。そういう意味では今回、村上春樹からゴジラまで、両極端な世界ブランドの作品がバランスよくそろっているのが、面白いなと思っているんですけどね。
――それこそ斉藤由貴主演の『恋する女たち』はないのかと思ったり、吉川晃司主演作なら『すかんぴんウォーク』も見てみたい、なんて思ってしまうのですが。
そこは自薦にこだわったところです(笑)。フィルムセンターの一押しは『恋する女たち』だったんですけどね。
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