映画業界絶好調の陰で苦悩するアート系映画

映画業界は一見、活況だ。2010年は『アバター』や『アリス・イン・ワンダーランド』、『トイ・ストーリー3』など、3D洋画を中心にヒット作品が続出している。邦画も、大手配給会社を中心に好調だった。全体の興行収入(売上高に相当)は、04年に記録した2104億円を超えるのは間違いない。

その一方で、寂しいニュースが業界を駆け巡っている。

東京都渋谷区・恵比寿ガーデンプレイスの敷地内にある恵比寿ガーデンシネマ。長年映画ファンに愛されてきたが、1月29日より休館となることが昨年末の12月20日、明らかになった。

カンヌやベネチア映画祭の受賞作品など、芸術性に優れた作品を上映してきたほか、マイケル・ムーア監督がアメリカの銃問題に鋭く切り込んだ『ボウリング・フォー・コロンバイン』をいち早く公開した映画館としても有名だ。運営する角川シネプレックスは契約満了をもって撤退し、今後の運営は未定である。

これだけではない。「渋谷から映画館の火が消えるのでは」と、映画ジャーナリストの大高宏雄氏が危機感を抱くほど、渋谷エリアで映画館の閉館・休館が相次いでいる。

ユーロスペースなど複数の映画館が入居するQ−AXビルでは、渋谷シアターTSUTAYAが昨年9月末で閉館。道玄坂に近いミニシアター、シネマ・アンジェリカも、昨年11月末に休館した。さらに1月6日、26年にわたり多くのアート系映画などを上映してきたシネセゾン渋谷の閉館が発表された。

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