――オリジナル版の35ミリフィルムのネガ素材が、サンリオにきれいに保存されていたことも、このプロジェクトを進めるうえで大きな要因だったと聞きました。1日に3秒分の撮影しかできないと言われる人形アニメですが、オリジナル版の『くるみ割り人形』は、5年という歳月と、7億円という当時では巨額の制作費をかけた大事な作品だと思います。現代版に作り直すにあたり、これだけは踏み外してくれるなといったリクエストはあったのでしょうか?
基本的には好きにしてくださいと言われました。もしかしたらプロデューサーレベルでは何かあったかもしれないですが、僕自身は完全に好きなように作らせてもらいました。
この映画にはかわいいのルーツがある
――増田さんはこの映画を「ルーツ・オブ・カワイイ」と評していますが、増田さんが考える「カワイイ」とは?
原宿における「カワイイ」というと、表面的な奇抜さ、派手さ、カラフルさといったものが取り上げられがちですが、そもそも「カワイイ」というのは、自分だけの小宇宙を作り上げるということなんです。その小宇宙には誰にも踏み込ませない、自分だけの世界。そこに思い入れのあるものを入れていくことが「カワイイ」の根幹なんですよね。だから別にカラフルではなくてもいいし、奇抜だったり、派手である必要はないんです。
――世界的にはアルファベットの「Kawaii」として原宿文化が広がっていますが、それは「カワイイ」という小宇宙の概念が世界で共感されているということなのでしょうか?
今、世界中に日本のポップカルチャーである「カワイイ」が普及し、形や意味を変え「Kawaii」として波及していますが、そのルーツは、日本人の少女文化を作り上げた先輩たちの礎の上に成り立っていると思うのです。ですから、過去の大先輩が作り上げたクリエイションを僕が引き継いで、そして未来に届けることをテーマに掲げました。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら