老後の「ギスギス夫婦」と「おだやか夫婦」の決定差 歳をとるとなぜ夫婦仲は悪くなってしまうのか

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

スマホを買うことはできても、ちょっとした使い方がわからないときはあるでしょう。そんなときでも、子供たちと接点を持っていれば簡単に解決できるはずです。こうしたささいな交流が、老夫婦の対立を防ぎ、脳の衰えを防ぐ可能性があるのです。

夫婦のどちらかの認知機能が低下してくるという状況は、決してめずらしいことではありません。そうなった場合、相手を否定するということが多々起きてきます。こうなってくるとますます夫婦間の会話は難しくなってきます。それは家族にとって大きな問題となります。

認知症の患者を抱えたとき、多くの家族は本人をなんとか説得して、理解させようとします。何度言っても間違えたりできなかったりすると、どうしても大声で怒ってしまうものです。

しかし、認知症の患者さんは、なぜそう言われるのか理解できません。ガスコンロに電動湯沸かし器のポットを直接置いてしまい火事になりかけた、というようなことが起きます。どうしてそんなことをしたのかと、家族は怒ってしまいますが、本人は家族を思って早くお湯を沸かしておこうと思ったかもしれません。電動湯沸かし器とやかんの区別がつかなくなっているので、自分が正しいことをしているのに怒られたと思い、患者さんはかえって混乱してしまうのです。

また何度同じことを言っても憶えていないことも、家族をいらつかせるものです。患者さんの不合理な行動や発言を「聞き流せるようになる」には、1年以上かかります。

ですが、家族が聞き流せる余裕を持てるようになると、不思議なことに、患者さんの認知症の症状も落ち着いてくるのです。いつも否定ばかりされていたのが怒られなくなったというのは、本人にとっては非常に快適な環境になったと思えるのでしょう。

普段も使える聞き流しの術

「聞き流しの極意」は、認知症の家族を抱えたケースにだけ使えるものではありません。たとえば、自分の意見を否定されたときにも応用できます。

相手のネガティブなパワーをさらりとかわすのです。「そうだね」「いいんじゃない」「そうそう」と同意することは、相手にとって非常にうれしいものです。

さらに「褒める」ことができれば、認知症の患者さんであろうと、家族であろうとすごくうれしいことであり、脳にとってもプラスに働きます。否定感などのネガティブな感情は脳にストレスをかけていくので、できるだけ避けるべきです。

聞き流しの極意にさらに相手を褒める力があれば、高齢になっても、たとえ相手が認知症になっても、平静でいられます。聞き流して、褒めるということまでできれば、自分の脳自体が活性化します。もちろん相手にもいい影響がでてきます。

否定してくる相手を「褒めて」「かわす」。これが、最上級者の会話術でもあります。

アルファポリスビジネスの関連記事
「何もかも面倒くさがる高齢者」に医師が伝えたいこと
酒飲みはボケやすい? 高齢者はお酒とどう付き合うべきか
「長生きしたくない」と考える高齢者が日本に多い訳
アルファポリスビジネス編集部

アルファポリスはエンターテインメントコンテンツのポータルサイト。小説、漫画、書籍情報などを無料で配信。最近はビジネス系の記事にも力を入れている。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事