老後の「ギスギス夫婦」と「おだやか夫婦」の決定差 歳をとるとなぜ夫婦仲は悪くなってしまうのか

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遺伝子の影響は子供のときに強く出るように思ってしまいますが、子供のときは「親」という環境要因が大きく影響して本来の性格は出てきにくいのです。その一方で、大人になってさまざまな制約がなくなってくると、その人本来の遺伝的な要素が強く出てきます。高齢になって理性的な部分の抑制が利かなくなるというのもあり、その人の本来の性格が強く出てきてしまうのです。

歳とともに、以前はやさしかった人が怒りっぽくなり、否定などしない人が何を言っても否定してくるようになるというのは、じつはよくあることなのです。

それに加えて、この「否定してくる」というのは、じつは人間が本来持っているリスクを管理する本能のようなものでもあります。

新しいことには危険が伴い、自分を守るためにまずは否定から入ってしまうのです。

家族が何を言っても否定してくるようになったなら、その人本来の性格が出てきているのかもしれませんし、高齢になってリスクを下げるために、まずは否定しているのかもしれません。「新車を買おうと思う」と旦那さんが言えば、「いまさら新車などもったいない、どうせぶつけてしまうでしょ」というような言い方をされるわけです。

否定から同意へ

新車の例で言えば、「最新の車は安全装置があって、暴走しないようになっている」と説明することで相手の理解が得られ、否定から同意に変わってくれることもあるでしょう。相手は、ただ感情的に言っているわけではなく、心配や不安から否定しているだけということも多いのです。

なので、否定されたことでカッとなってはいけません。なぜ相手が否定するのか考えてみましょう。逆に、否定に対して怒りで反応すれば、同意を得られることは少ないでしょう。

ただし、こうしたすれ違いから対立状態になってしまうことは、高齢になればなるほど起きやすくなってきます。これは先ほども書きましたが、新しいことに対しての理解力が低下しているためです。また、新しい情報に触れる機会がそもそも少ないことが根底にあると言えます。だれでも知らないことには不安を抱くものです。

では、どうすればいいのでしょうか。

会話をする相手が夫婦だけではなく、たとえばお子さんでもいれば、いろいろな情報を手に入れることができます。触れる情報が多ければ、新しいことに対しても寛容になれるのです。

子供や孫との交流は、老夫婦の孤立を防いでくれるだけではありません。情報に触れさせてもらえるという意味でも、重要な意味を持ってくるわけです。

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