【15年ぶり】「土星観測」好機が到来!楽しむコツ 2024年秋に訪れる「衝」を"東大宇宙博士"が解説

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みなさんは流れ星を見たことがありますか?

見たことがあっても、あっという間に消えてしまって、「何も願いごとができなかった……」なんていう人もいるかもしれません。

そもそも「流れ星に願いごとを3回唱えると、その願いが叶う」というのはどうしてなのでしょう? それは、欧米で語り継がれている神話がもとになっています。

天の世界には神様が住んでいる。神様はときどき地上のことが気になって、部屋の窓を開けて地球をのぞき込む。チラッと見たかと思うと、サッと窓を閉めてしまう。
窓を開けているときに天の部屋から差し込む光が、地上では流れ星として見えている。流れ星が見えている間に願いごとを唱えると、神様の耳に届くので、その願いが叶う。

想像力豊かですよね。神話的には、流れ星は「神様ののぞき見」だったというわけです。

願いごとが神様の耳に届けばいいなら、唱えるのは3回じゃなくて1回だけでよくないですか? 私は観望会で「流れ星への願いごとは1回でOK」と提唱しています。

科学的に考えると流れ星は「宇宙のチリ」

ではその流れ星に出合う確率を高めるにはどうしたらいいのか。そこで科学です。

科学的な観点でいうと、流れ星の正体は「宇宙を漂うチリ」です。このチリが地球の空気とぶつかると、夜空をピューッと駆ける流れ星になります。直径1ミリくらいの小さな粒でも肉眼で見える流れ星になります。

宇宙のチリは、1日に約100トンも地球に降り注いでいるといわれています。なので私たちが気づいていないだけで、日中にもたくさんの流れ星が輝いているはずです。

タイミングによっては、ひと晩にあまたの流れ星が見られることがあります。

カギとなるのは「彗星」です。彗星は氷とチリからできた天体で、太陽の熱で氷が溶かされると、あちこちにチリをまき散らします。彗星の通り道を地球が通過すると、一夜に何百もの流れ星が見える「流星群」になります。

流星群のなかでもとくに流れ星の数が多い「三大流星群」がオススメです。「しぶんぎ座流星群」(1月4日ごろ)、「ペルセウス座流星群」(8月12日ごろ)、「ふたご座流星群」(12月14日ごろ)、この3つをおさえておくといいでしょう。

この夏、広島の山奥で開催したペルセウス座流星群の観望会では、空を切り裂くような流れ星がいくつも見え、参加者と一緒に「おおぉぉぉ!!」と歓声を上げていました。結局、1回だけだとしても願いごとは唱えられませんでしたが(笑)、一生モノの思い出になりました。

次は、今年12月のふたご座流星群は月明かりの影響で見えにくいので、来年1月3日の夜中(4日の0時)に極大を迎えるしぶんぎ座流星群を狙うのがいいでしょう。

数は多くないですが、この秋に流星群を楽しむこともできます。街明かりがなく、たくさんの星が見えるような場所で、10月8日に極大となる「10月りゅう座流星群」を狙ってみてください。1時間に数個ほどの流れ星が見えると期待されています。

太陽系の天体の動きを感じながら、また、神様ののぞき見を期待しながら、流れ星を待ってみてください。

望遠鏡
「神話」と「科学」両方から知識を得ると、夜空の見方が変わる(画像:『東大宇宙博士が教えるやわらか宇宙講座』より)
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