両親は三原さんの音大入学の意志を尊重し、地元の新潟県から東京へと彼を送り出してくれた。
「そこまでしてもらったのに、大学在学中はバイトと飲み会に明け暮れて、真面目に音楽活動をしませんでしたね。同級生にはポップスやクラシックの業界でプロになろうと頑張っている人もいましたが、その頃は頭を下げて自分を売り込むことができなくて。音楽自体から逃げてしまったんです。
卒業後は飲食関連のアルバイトをしながら1年ぐらいフラフラとした後、手に職をつけようと舞台の大道具製作へ。そこから大工の業界に入ったという経緯です」
紆余曲折あって大工の道に入った三原さん。それまで取り組んだことは続かなかったのにもかかわらず、大工という仕事に腰を据えて取り組み、工務店を立ち上げるまでしたのは、なぜなのだろうか。
「ピンとくるものを感じたからです。何もないところに、自分の力でモノができたという達成感が好きなんですよ。それに人の役に立てている実感が持てるのも、嬉しいですし」
三原さん曰く、音楽と大工の仕事には共通点があるという。
「音楽は頭でイメージしたとおりに体が動かないと、上達しない。そこは大工の仕事も一緒なんです。体を使って何かを作り出すのも、演奏家と大工は似ている。今までやってきたことと地続きで取り組めるので、しっくりくるものがありました」
大工の仕事とドラムの演奏には、リズム感と正確性が重要だという共通点があるが、それを感覚的につないでキャリア構築したところに、三原さんの独創性がある。
猫たちの存在は癒やしであり「支え」
大工という仕事で身を立てようと日々励んでいる三原さんにとって、癒やしとなっているのがこの猫たちだ。
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