60代半ば、都心から郊外へ「美学ある」団地暮らし 人生のアップダウンを経てたどり着いた「部屋」

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リノベーション済の団地
66歳のときに購入したリノベーション済みの団地(撮影:梅谷秀司)
ひとり暮らしが増えた背景には、若者の未婚率の上昇とともに、65歳以上の単身世帯の増加がある。熟年層のひとり暮らしを楽しむ秘訣とは?
現代の「ひとり暮らし」をリアルに可視化しながら、それぞれの生活の多様性と、その背景にある社会的、経済的要因を透かし見ていく本連載。第5回は東京郊外のリノベーション団地で暮らす、68歳の重松久惠さんを取材した。
若いころからキャリアを積み重ね、今も中小企業診断士の資格を活かして多方面で活躍する重松さん。築58年の団地と聞いて驚く、その美しく白い部屋でこれまでの歩み、そしてこれからについて語ってもらった。

現在築58年の団地は「私より10歳年若い」

重松さんが現在住まう団地の一部屋を購入したのは、コロナ禍の最中。「とにかく都会を脱出したかった」という気持ちで、池袋の賃貸物件から移り住んだ。購入したとき工事は途中だったが、材料の手配はほとんど済んでいた。

「壁の色だけは選べたので、塗り壁風の白で統一しました。リノベーション時に自分の好みを反映させたのは、その点ぐらいですね。購入当時この団地は築56年でしたが『家のほうが、私よりも10歳若いのだから、一生住むことができるだろう』と前向きに考えました。

購入するにあたって気にしたのは、築年数よりも現在の団地全体が『生きているか』ということ。団地のなかには過疎化が進んでいるところもあって、そうなると管理が行き届かなかったり、防犯上危険だったりするそうです。

だから部屋だけでなく敷地や建物のメンテナンス状況を確認しましたし、夜に訪れて灯の数もチェックしました。その結果この団地はちゃんと人が住んでいる『生きている団地』だと確認できたので、購入を決めたんです」(重松さん 以下の発言全て)

【写真】築50年を超える団地でリノベーションした部屋は、心地よい空気が漂う(13枚)
重松久惠さん
重松久惠さん/商品開発アドバイザー、中小企業診断士、東洋大学大学院非常勤講師。文化出版局で編集者、アパレル開発などを経て59歳で中小企業診断士の資格を取得後、現職(撮影:梅谷秀司)
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