2015年3月の議会選挙の結果を受けて発足したイスラエルの新ネタニヤフ政権は、中道左派政党が連立に加わっていた前政権とは異なり、ナショナリズム色が強い連立政権となっています。
イスラエルにとってイランは「最大の脅威」
政権を担っているのは、ベンヤミン・ネタニヤフ首相が党首を務める第1党の右派政党「リクード」、極右政党「ユダヤの家」、中道右派「クラヌ」、宗教政党「シャス」および「ユダヤ教連合」の5つの政党です。政権内では極右の「ユダヤの家」の影響力が強まっており、イスラエルはイランやパレスチナに対して、非常に強硬な外交姿勢をとり続けています。
イスラエルは自国の安全保障にとって、イランを最大の脅威とみなしています。イランは核兵器開発を進めているだけでなく、反イスラエルを明言しており、またハマスやレバノンのシーア派組織に武器や資金を提供してもいるからです。
またイスラエルは今回の欧米など6カ国とイランの合意により、アメリカが核開発問題でイランに歩み寄ったことを強く非難しています。
ネタニヤフ首相は、「イランが核兵器を持てば、それを使ってイスラエルを攻撃してくる。イランが核開発の放棄を約束するまで、経済制裁を強化すべきだ」という主張を繰り返し、これまでイランの核開発に関するあらゆる譲歩に反対してきました。
「イランはイスラエルに対する生存上の脅威であり、イスラエルが存在する権利を認めることが前提条件であるべきだ」とし、イランがイスラエルの存在を認めない限り、いかなる合意も結ばないようアメリカ政府に訴え続けていたのです。
しかし、反イスラエルを国是とする、イランの最高指導者アリー・ハメネイ師が、イスラエルが存在する権利など認めるはずもありません。ネタニヤフ首相自身、そんなことは百も承知だったはずです。
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