米国の金融関係者の間では、利上げの時期をめぐって、FRB(米連邦準備制度理事会)の要人の発言が常に注目されています。要人の発言の言い回しが少し変わるだけでも、金融市場が動揺するとともに、利上げに関するさまざまな思惑が、日々活発に語られています。
なぜ6、9月の利上げの可能性は低いのか
米国の金融市場では、2014年の今頃には「利上げは2015年の3月頃になるだろう」と言われていました。しかし、その後はFOMCが開かれるたびに、「2015年の6月になるだろう」、「6月よりも9月の可能性が高いだろう」と、次々と利上げ時期に関する予想が、後へ後へとずれてきています。現時点では、9月の利上げ説がもっともらしく語られているようです。
しかし私は、「利上げは12月か2016年3月の可能性が高い」と考えています。なぜなら、経済の大きな流れから見れば、「FRBと金融市場の双方の経済見通しが外れるだろう」という前提に立っているからです。
イエレンFRB議長は5月22日にロードアイランド州で講演したときに、米国の今後の景気に楽観的な見通しを示し、「年内のある時点で、利上げの最初の段階に進むのが適切だ」と述べました。米国商務省が5月29日に発表した2015年1-3月期のGDP改定値は、年率換算で0.7%減となりましたが、イエレン議長をはじめFOMC参加者の多くは景気減速を「一時的」ととらえ、年内の利上げ開始を強調しています。
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