ネタニヤフ政権の攻撃的姿勢は以前から明らかですが、実際には先制攻撃のような事態は起こらないでしょう。オバマ政権のアメリカがイスラエルによる攻撃を支持していないからです。
6カ国とイランとの間で、核問題についての最終合意がなされた今の段階で、戦争を起こしたがっているのは、ロシアのほかにはイスラエルだけです。欧州各国およびオバマ政権は、「ネタニヤフは中東で新たな戦争を始めようとする危険人物である」としか見ていません。
アメリカはネタニヤフ政権を見放す可能性も
イスラエル国民が懸念すべきは、ネタニヤフ首相の発言に対して、欧米社会ではアメリカの共和党の一部の議員以外、誰も耳を傾けていないという事実です。親イスラエルのユダヤ系アメリカ人も、全員がイランとの和解に反対しているわけではありません。ネタニヤフがあくまでイラン攻撃を主張するなら、アメリカは現政権を見放すことになるでしょう。
アメリカがイスラエルの懐柔に失敗したら、おそらくネタニヤフ政権は崩壊するだろうと、私は予想しています。120議席のうち61議席しか持っていないということは、どこかひとつの政党をひっくり返すだけで与野党が逆転してしまうことになるからです。イスラエル経済はかなり疲弊しているので、アメリカ政府がその気になれば、政局をひっくり返すことは簡単にできるでしょう。
もともとイスラエルは、アメリカにとって中東における強力な手駒のひとつです。ネタニヤフ政権が崩壊して、新しい政権が中東の安定のために妥協してくれるのであれば、アメリカにとってそれがベストな選択肢となるはずです。
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