子どもが生まれてからは、子育てには熱心な一方で、夫には無関心。それがレンチンする1人の食卓によって浮き彫りにされ、のぶおの孤独感へとつながっていった。また、妻と子どもの間にはコミュニケーションがあるが、夫はいつも蚊帳の外で、家族は2対1の構図になっていった。
今回の2つのケースは、“食事”が夫婦のコミュニケーションの亀裂を生むきっかけになっている。
しずおとまりこのケースは、まりこが手作りの食事にこだわらず、疲れているときは家事を手抜きしてもよかったのではないか。コンビニ弁当を食べながら、1日あったことを話し合う時間を作っていたら、気持ちのすれ違いは生まれなかったような気がする。
のぶおとさとえのケースは、のぶおが帰宅したら、冷蔵庫に入っていた惣菜をさとえが温め直し、ご飯と味噌汁を添えて出す。
あまりにも疲れていた日は、子どもとそのまま休んでもよいのだが、余力がある日は、自分は食べなくても、のぶおが食事している間はそこに座って1日の話をしていたら、夫婦間に亀裂は入らなかったのではないか。
「現実」の結婚で大事なこととは
結婚とは、それまでまったく違った環境で育ち、生活習慣も考え方も違う2人が夫婦となって、一つ屋根の下に暮らすことだ。
他人同士だった2人が夫婦になるのだから、大切なのは会話をする時間を惜しまないこと。気持ちを言葉にして、お互いの考え方や価値観を語り合い、それを認め合うことではないだろうか。
現在、婚活をしている人たちは、“こんな相手と巡り会いたい”という、相手への理想の条件があるだろう。
その理想条件をある程度満たしている人と見合いをして、交際し、結婚していくのだが、出会ってから結婚まで進む過程のなかで、自分の考えや習慣や価値観を押し付けるのではなく、どのくらい相手のそれらを受け入れられるかを考えてみるといい。結婚生活が始まってからも、しかりだ。
相手を認め受け入れるためには、自我のベクトルを一方的に相手に向けて、押し付け、自分が正しいと主張してはいけない。夫婦にとって大切なのは、受け入れと認め合いだ。
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