女性活用を阻む「日本的転勤」という大問題

「地域限定正社員」では解決しない!

女性のキャリア継続を阻む、頻繁な転勤という日本的問題について取り上げます(写真:kou / PIXTA)
昨年、『「育休世代」のジレンマ』(光文社新書)を発表し、ワーキングマザー界に鮮烈にデビューした中野円佳氏。連載10回目の今回は、日本の女性がキャリアを継続するうえで大きな壁になっている、日本的転勤問題について取り上げます。多くの企業で行われる頻繁な転勤は、本当に必要なのでしょうか。
※1回目記事:育休世代のカリスマが、会社を"降りた"ワケ
※前回記事:激務の夫を選ぶ、キャリア女性の「自縄自縛」

 

こんにちは、女性活用ジャーナリスト/研究者の中野円佳です。昨年の夏、某メディアで女性記者が大量に退職していることが話題になりました。この女性たちの行動の根本的な原因は、昼も夜もない報道現場の問題というよりは、転勤問題だと私は思っています。

マスコミで働く女性に立ちはだかる「転勤問題」

私もマスコミで働いていたので、あの雰囲気はよくわかります

私自身、最近までマスコミで働いていましたが、経済新聞であったことから東京にいる記者の比率が高く、転勤問題にそこまで頭を抱えることはありませんでした。ただ、同業の中でも全国系メディアは、地方にいる期間が合計5~10年に及ぶなど、長く、かつ複数回になることが一般的です。

特に大手全国系メディアでは、入社後まずは地方の支局に配属され、その期間に目立った成果を出し、本社の希望ポストを得ていくような仕組みだったりするのですが、もし地方にいる駆け出し時代に子どもを産んでしまうと、キャリアパスが見えなくなってしまいます。

最近やや変わりつつあるようですが、社内婚だった場合には同じ職種で同じ都道府県には配属しないなどの「前例主義」があった企業もあり、同じ職種である限り、定年まで夫婦一緒に住める目途がほとんどたたなかったというのがこれまでの状況です。

これに加えて、昨今の「卵子老化」についての一連の報道。妊娠や不妊についての知識が世の中に広く知られる契機がメディアで作られたことを、もっとも微妙な気持ちでとらえていたのはメディアの中の女性たちかもしれません。卵子老化を世に知らしめたメディア自体が、女性記者に対しては高齢出産を推奨する、つまり「東京に配属されてから産んでくれ」という方法しか解を出せていなかったからです。

自分の組織が対応できていないことを報道するなと言い出したら報道がゆがみますから、組織の対応にかかわらず重要な事実が広く報道されること自体はすばらしいと思います。でも、実際にメディアの中で子育てと両立している多くのケースは、30代後半、自らの領域をある程度確立してから産んでいる人ばかりだったりするわけです。

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