では、こうした暴走を止めるにはどうしたらいいのでしょうか。そのためには、地域活性化のプランについて、定量的議論の機会と、柔軟性の確保について「初期段階」で確認するのが大切です。
どういうことでしょうか。人間が取り組むのだから、情緒性を完全に排除することは困難かもしれません。しかし、せめて論理的・定量的な議論を定期的に行うだけでも、かなり暴走は止められます。活性化にかかわる関係者が出すそれぞれの意見も、単に感想ではNGとし、数字をもとにした内容にするのです。また、出された意見も、数字で計算して検証してみれば、それが可能であるのか否かよくわかります。
例えば「図書館構想」を皆で議論してプランを練るとします。それを作るにはいくらの予算が必要で、維持費はどれだけかかるのか。1冊あたりの貸出コストはいくらで、1世帯あたりの負担はいくらなのか。施設維持費はいくらかかり、図書購入費はいくら程度になるのか。数字で見ていけば、議論の熟度は高まります。
このとき、勝手に情緒性を優先させて、希望的観測にもとづいて作為的な数字の作り方をしては全く意味がありません。ここはあえて批判的にやってみるというのが大切です。また、何事も一貫性よりも「柔軟性」を優先することを最初から確認しておくことです。初期段階から検討を進めていったほうが情報は集まり、分析も熟度が高まっていきますので、物事は変更されて当然なのです。
数字と向き合い、「群れないリーダー」を確保せよ
しかし「定期的に抜本的変更を加えること」を最初に宣言し、確認して進めないと、個々人の面子や人間関係を理由にしてズルズルと「初期の無理な計画」の検討が続けられてしまいかねません。そして「後戻り不可能なタイミング」に至ってしまい、「ここまできたらやってしまおう」、といったような話になって、トンデモ計画が実現されてしまうのです。
こうした「定量的議論」と「柔軟性確保」のルール化は、どんなに取り決めておいても煙たく思う人は少なくありません。このルールをその都度確認して進めることは、マネジャー(計画のまとめ役)にとって、非常に孤独な作業になることもしばしばです。逆にいえば、地域でのプロジェクトを率いていく人材には、その孤独と向き合うことが必要だと言えます。
情緒に任せ、内輪受けで盛り上がりながら、プロジェクトが失敗しても単に傷を舐め合うだけの「仲良しクラブ」では、真に地域を変えることはできないのです。
たとえ自分個人が損をしたとしても、ダメなものにはダメとストップをかけ、修正するべきものは修正する。それが本当に故郷を愛することではないでしょうか。
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